アウトレットマンションとは、キャッシュフローがにっちもさっちも行かなくなったデベロッパが、とりあえず当面のキャッシュを手に入れるために売出値の5割程度で不動産屋に一括売りしたマンションを、その不動産屋が自分の利益を抜いて売出値の3割引き程度で売り出すマンションのことです。任意売却一歩手前物件のカッコいい呼び方だと思えば大体オッケーです。
まあ、売出値よりはだいぶ安いのは事実ですし、お得感により話題になっています、結構なことですね。
このアウトレットマンションについて「家を買いたくなったら」で有名なid:digiconさんがエントリを書いてらっしゃいます。
・ そもそも本当に安いのか?
愚直でまっとうな不動産投資〜資産防衛、土地活用、事業承継、相続対策
観光地のアウトレットモールでの商品同様、値引きされている価格が本来の価値に比べて本当に安いのか?
例えば当初の金額から20%程度値引いているからといってその価格が現在の相場から言って適正であるとは誰も到底言えません。
そもそも全く売れないから買取り業者へ転売した訳ですから。アウトレット価格自体が本質的に割安かどうかは、慎重に検討する必要があります。
では、ざっくりと目安を計算してみましょう。
自分の感覚ですと、昭和のバブル真っ盛りに建てられたマンション(平成元年築とか)ですが、5,000万円弱の物件が1,000万円近傍で売れたり売れなかったりしています。20年でだいたい5分の1ってことです。今回も同程度の値崩れが起きると仮定します。また、同程度の賃貸マンション賃料は利回り5%を想定します。シミュレート条件は以下の通りです。
- 売出4,000万円のマンションを3割引の2,800万円で購入
- 住宅ローンは35年3.1%で2,800万円借入*1
- 同程度の賃貸マンション賃料は、16万円/月と想定
- 管理費等・固都税を合わせて、3万円/月と想定
- 購入時諸費用は、頭金として5%の140万円を手出し
- 20年後をゴールに設定。4,000万の5分の1で800万円が20年後のマンション価値
3割引アウトレットマンションならトントンか
住宅ローンの支払が約11万円/月と出ましたので、管理費等を計算しても14万円/月と賃貸マンションに比べて2万円/月お得な計算に。初期費用の手出し分も6年間で取り戻せます。
で、20年後のローン残高は約1570万円。その時のマンション価値が800万円という設定でしたから、売却するのに770万円の手出しです。3万円/月の積み立てをしていればほぼトントンですね。住居費が賃貸を上回ってしまいますが。
月々のローン支払を想定賃貸マンションと同じレベルにすると、約26年のローンになります。20年目の残債は900万円弱。売却で若干の手出しが必要です。
慌てて買う必要はないかも
「今回は昭和のバブル程ひどい値下がりはしない」という読みであれば、買ってもいいレベルかと思いました。ただ、やっぱりフルローンを組むと金銭的には美味しくないので、「こんなに安いのは今だけかも!」と慌てて飛びつくと損しそうな気もします。今の経済状況を考えると、値下がりしそうなモノを買うわけですからそれなりの覚悟はしておくべきでしょう。
*2
以下余談
新築物件は、主要な構造部分の瑕疵や雨漏りに対しては、通常10年間の瑕疵担保を売主が負うことを法律で義務付けられています。しかし、買取り転売されるアウトレットマンションは、「中古」での販売となりますのでこの10年の保証は法的には適応されないと思われます。
一応、こういう制度もあります。だから、住宅性能保証はチェックした方がいいのかも、なんて。
万が一、保証期間中に登録事業者が倒産しても、10年間の長期保証(構造耐力上主要な部分)について、補修費用から免責金額10万円を除いた額の95%が保険金等としてお客様へ支払われるので安心です。
http://www.how.or.jp/seinou/point/point7.html
また、例の構造計算偽造のおかげで、まもりすまい保険というのができました。瑕疵担保責任を売主が倒産しても負ってくれることになっています。