という増田があり、簡単な解説記事を書いてみる気になりました。
全体的にわかりやすさを重視していますので、厳密ではない書き方をしている部分があります。コメント欄やブコメで補足していただけますと助かります。
長い。三行で。
- 歩行者の通行は阻害されない
- 車両の通行はダメかもしれない
- 道路修繕や埋設インフラの問題は別腹
通行権の見分け方
こういう私道があります
- 位置指定道路
- 2項道路または3号道路
- しばしば公道の場合もあり(いわゆる『赤道』)
- いわゆる『ただし書き道路』
- 敷地延長(略して敷延、路地状敷地、略して路地敷とも)*1
で。つらつら書いておいて何なのですが。
これらの道路は全て、車両での通行が阻害される恐れがあります。たとえば:
位置指定道路である私道の利用制限の取り決めは、自動車通行や駐停車を禁止する限度で有効とした事例
位置指定道路は私道ではあるが、その所有者以外の第三者を含む一般公衆の通行を許容する性質を有しているものであるから、公衆の通行・立ち入りを全面的に禁止したり阻害したりすることはできない。しかし、あくまで私道であるから、その所有者は、当該道路に対する維持・管理権を有し、前記の位置指定道路の趣旨等、法令の規定に反しない限り、当該道路の保全と関係権利者の居住の安寧のため、当該道路の利用を自治的に定めることができ、当該道路を利用する一般公衆もその定めによる利用制限に服するものというべきである。
*2
ですので、私道の種類よりも、どういった権利を持っているかという事の方が大事かと思います。
こういう権利があります
- 単独での所有権
- 共有持ち分
- 私道の一部の所有権
- 通行地役権
- 地上権や賃借権の登記
これらの権利があれば、まずは車両での通行は主張できるだろうと思います。
通行契約
一切権利を持っていなくても、所有者が「車も通っていいよ」と言ってくれるなら通っていいです。口頭でも有効ですが書面でもらっておくべきでしょう。個人的には、無償であるより有償の方が安心感はあります。
囲繞地通行権
権利も全く持っておらず、所有者が「一切通ってはいけない」と言ったとしても、他人の土地を通らないと公道に出ることができない場合、通行権が認められています。
ただし、その範囲は最小限とされているため、車両での通行が認められるのはレアケースです。
一応、そのレアケースを上げておきます。
自動車による通行を前提とする囲繞地通行権が認められた事例
通行権はあるものの
修繕は別腹ですし、水道・ガス・下水のつなぎ直しなどがスムーズにできるかというと、その限りではないです。
所有者が管理してくれなかったり、そもそも所有者がどこにいるのかわからなくなったりすると、ちょっとした池みたいな水たまりができたりします。
そのあたりは、法務省がガイドラインを作ってますので、ぜひしっかり読んでいただければと思います。
複数の者が所有する私道の工事において必要な所有者の同意に関する研究報告書~所有者不明私道への対応ガイドライン~
お気持ち
推測というか、想像ですが、おそらくその増田邸の建築の際にA氏は不満をため込んでいたのだろう、という気がします。
感情的にもつれてしまうと、もう、なかなか手を付けられない事態になってしまうこともあるのでなんともですが、A氏と有償の通行契約を締結して、その負担分を不動産屋に請求する、というあたりが落としどころな気がしました。
位置指定道路の通行権の有無について告知義務違反があるとして、売主業者に対する損害賠償請求が認められた事例
みなさま、どうぞよい住居購入を。