このような記事を読みました。
hokke-ookami.hatenablog.com
これに対してこのようなブコメを付けました。
相手の勝手をゆるすという意味で「白紙委任状」という言葉がつかわれているのだから、「白票」も政治家の勝手をゆるすことにしかならないとは思わないのだろうか - 法華狼の日記b.hatena.ne.jp
- [政治]
投票は手段であって目的ではないと思うので、同意。もし「投票率は高い方が望ましいから白紙でもいい」みたいな話であるなら目的と指標を完全に取り違えているので、論外だと思う。
2024/10/23 17:58
これについてもう少し詳しく書きます。
投票は政治力を行使する手段
私の偉そうなブコメですが、当然これについて「じゃあ、お前の言う投票の目的ってなんだよ」という話になるかと思いますが、簡単に言えば政治力の行使です。
もちろん、これは人によって異なると思います。「義務を果たす」ことが目的の人や、あるいは単純にファッションとしての投票をする人もいてもいいと思います。
ただ私は、普通選挙は、市民がなるべく平等に政治力を行使するためにあると考えているので、「政治力の行使」が目的である人が多数派であってほしいな、と思います。
政治力とは神聖魔法
ところで、こんな増田記事がありまして。
anond.hatelabo.jp
やあ、懐かしいな、と思いながら読んでいました。
で、みなさん、コクーンワールドって知ってます? ソードワールドのパロディというかなんというかちょっと変わった世界設定なんですけど、私はけっこう好きで。
特に好きなのは魔法の設定なんです。wikipediaを引用しますね。
神聖魔法
ja.wikipedia.org
神官が自分の信仰する神に祈ることで奇跡を起こす魔法。神に直接祈りを届けるための神聖語で唱えられるが、実はその内容は神に対し、この程度の奇跡も起こせないと信者が減って、神の力の源である信仰心が不足しますよという脅迫になっている。
これが政治力だと思います。
ケンモメンで企業献金に反対してるわけではない
ところで、今回の選挙は裏金問題が焦点になっていますね。ついでに企業献金や政治資金パーティーの見直しも議論されています。
これって、「あいつら楽して儲けやがって」というケンモメン的な観点からの批判ではないんです。*1
お金によって政治力を獲得できるからです。
どうしたって、顕名でお金をもらえれば「誰々さんにはお世話になった」と感じますから、神聖魔法が使いやすいってことです。
市民が平等に政治力を発揮できるはずが、そうではなくなってしまうのはよくないのではないか、という批判が出るのは理解できるところです。
投票は匿名
一方で、投票は匿名で行われますので、候補者も「誰々さんにはお世話になった」とは感じないです。
なので、投票だけでは言うほど政治力を行使できないです。「選挙に行っても意味はない」というのは、ある意味正解です。投票だけでは神聖魔法はなかなか使えません。
投票するに当たって「私はあなたに投票するからね」と直接言えば、もしかしたら候補者が覚えていてくれて、神聖魔法が使えるかもしれません。
投票を政治力に変えるのが運動
ところで、投票するに当たって「私はあなたに投票するからね。同じ考えを持つ人を100人集めてきたから」と言えば、候補者も「誰々さんにはお世話になった」と感じ、神聖魔法が使えるかもしれません。
つまり、投票を政治力に変えるのが運動だということです。
白票は当選者の正統性を上げる
白票についてなのですが、白票は棄権と異なり投票率にカウントされます。
さて、ある当選者がいて、その選挙で投票率10%である場合と、投票率が80%である場合、どちらが当選者の正統性が高いと思いますかっつーか明らかに後者ですよね。
なので、白票を投じるという行動は棄権と比べて、白紙委任状は言い過ぎとしても「勝ち馬に乗る」的な意味合いを少しだけ持ちます。
白票で神聖魔法を使うには運動が必要
そういうわけで、「白票」という行動には政治力はほとんどないです。が、「白票運動」をすればワンチャンあるはずです。
なぜなら組織的に「白票運動」をして白票をたとえば投票総数の1割も集めることができれば、次の選挙のことを考えざるを得ないからです。
そして、たとえば「夫婦別姓に賛同する候補がいなかったので」などと言えば、もう神聖魔法を唱えてるも同然です。
なので、政治家に何かを考え直してもらいたい=政治力を行使したいと考えているなら、白票を投じるだけではなくて運動をしてみてはどうでしょうか。
最低有効票率
ところで、余談というか思い付きですが、「最低有効票率」みたいなのを設定すると、選挙はどうなるんでしょうね。最低有効票率を下回ったら当選者なしにするの。
*1:たぶん