不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

「そんなに利回りいいならなんで自分で買わないんですか?」には「鶏肋」と答えるのがいい

 
 
anond.hatelabo.jp
 
 ↑よく言われるこれについて説明してみたいと思います。
 
 

不動産流通業と不動産賃貸業について

 
 不動産屋には、不動産流通業と不動産賃貸業があります。
 他にも、開発とか管理とかありますが、今回の話とは関係ないので省きます。
 

不動産流通業について

 
 不動産流通業は、我々のような不動産を動かして利益を得るものです。
 仲介業者などの、みなさんが不動産屋としてイメージしやすいのがこれです。
 不動産流通業は、不動産を動かさないと死んじゃうので、不動産を売ったり買ったり仲介したりしようとします。
 

不動産賃貸業について

 
 不動産賃貸業は、要するに大家です。所有している不動産を賃貸して利益を得ています。
 街でときどき見かける、やる気がなさそうに見える不動産屋はもしかするとこっちです。仲介もやるけど、基本的には自社物件の賃料で食ってる会社の可能性があります。
 有名なところだと森ビルとかも自社で開発して賃貸しているので、デベロッパーであると同時にこちらの要素もあります。
 不動産賃貸業は、所有不動産の運用をやる会社なので、不動産を動かさなくてもあまり死なないです。その代わり、資産はたくさん必要です。
 

不動産を開発する場合

 
 さて、不動産流通業のA社があって、賃貸物件を自社開発で作るとします。
 利回りの相場(キャップレート)が5%、開発費用として土地仕入と建築費で800円で作れるとします。そして、年間賃料が50円としましょう。
 当然、開発費用は銀行から借入をします。
 利回りで言うと 6.3% ぐらいなので、相場より回っている十分な利回りがあると言えましょう。
 
 ところで、銀行も無限にお金を貸してくれるわけではないです。
 A社の信用では、6,400円が上限だったとしましょう。
 開発費用が800円なので、8棟建てるのが限界です。次の1棟を建てるためには借入を返済しないといけないです。借入を返済するにはお金が必要です。お金は賃料を貯めるしかないです。
 年間賃料50円が8棟なので、年間400円を貯めることができます。次の1棟を建てるのは2年後になります。
 
 これは、不動産流通業としては不動産が動かなさすぎて、遅いです。
 

不動産を売るとどうなるか

 
 さて、A社がこの不動産を売るとします。
 キャップレートが5%なので、50/5%=1000円です。
 この売却でA社は1000円の現金を手に入れることができるので、借入を返済し、すぐに次の1棟を建てることができます。
 つまり、不動産を動かして余剰資金を作るため、所有物件の出口を常に考えているのが、不動産流通業の動きです。
 

既築物件仕入の場合は

 
 既築物件仕入の場合も同様で、出口を考えて仕入れます。
 ですので、A社は1000円の相場のものを1000円で仕入れて1000円で売るようなことはしないです。それはただのアホです。
 1000円の相場のものを800円で仕入れる、あるいは700円の相場のものを700円で仕入れて100円で改装をし1000円で売れるような物件にする、はたまた「1000円で物件さがしてるんだけど」という顧客を捕まえておいて900円で仕入れる、そのような動きをします。
 
 不動産流通業は不動産を動かさなきゃいけないので、キャップレートで買ってると死んじゃうんです。
 動かすためには、安く仕入れないといけないんです。
 不動産賃貸業なら十分な利回りでも、不動産流通業が仕入れるには高いんです。
 資産を持ってて賃料だけで食っていける会社とは違うんです。
 
 営業で投資物件をおすすめする時は「大家さんになりませんか」ということなんです。不動産賃貸業を始めませんか、というお誘いなわけです。でも、我々は不動産流通業なんです。ウチが仕入れるには高いんです。
 
 鶏肋鶏肋
 

営業さんは買わないの?

 
 買いますよ。でも、会社が仕入れられるような目線の物件は会社に持っていかれますね。会社によっては仕事で得た情報で物件を買うことを禁止してるところもありますが、賃貸物件持ってる営業はまあいます。不動産賃貸業をやるために不動産会社で働いて勉強してるとか、普通にいますし。地主の跡継ぎとか。
 
 ただ、我々不動産営業って、与信があまり出ないんですよね…… おすすめする物件はとても手が出ないってことはまあ、あります。もちろん、めっちゃ稼いでて副業で法人作って銀行からプロパー引っ張るような営業もいます。これはほんともう、人と会社によりますね。
 なので、「あなたは買わないんですか?」に対する回答は「そんな信用|お金ないですよ」という悲しい話かもしれないです。
 
 
 
 もちろん、ただのクソ物件であることの方が多いけどな!