自分が自分の大家さんになるということ - 不動産屋のラノベ読みの続き。
また、賃貸か購入かで盛り上がっているようなので、便乗します。
前回、「65歳に720万円のマンションを手に入れるために、今から35年間毎月3.9万円支払うかどうか」と申し上げました。
で、「私の考えでは「それも投資として見合わない」なのですが、」として、話を引っ張ったところでした。。
その後id:ululunさんに修正を食らったので毎月のマイナスは3.2万円となりましたが、問題としては変わっていません。
そういうわけで、現在価値を求めてみましょう。
条件は以下の通り。
- 35年目まで、毎月3.2万円の損失
- 36年目から45年目は、15万円の「見えない賃料」収入から諸経費2万円を引いた、毎月13万円の利得
- 45年目に売却して終了。売却価格は新築時の20%の720万円
現在価値の求め方は、
一般に年割引率が i であるとき、t 年後の R 円の現在価値は、R/(1+i)t によって与えられる。
現在価値 - Wikipedia
とのことです。リスクフリーレートとして10年国債の1.37%を採用して計算すると、35年後の現在価値は、以下の通り。
- 228万円
つまり、228万円のお金を手にすることとイコール、ということです。
しかし、これで「買った方が得」とはならないです。想定した割引率が低すぎます。
この計算では、「あなたの家賃支払能力」が国債と同程度のリスク、としていることになります。つまり、「あなたの家賃支払能力」が「日本国の国債支払能力」と同じぐらいのリスクなら、購入しても得、ということです。
ちなみに割引率を上げていくと、以下の通りです。
- 2%:36万円
- 3%:-161万円
- 4%:-272万円
- 5%:-330万円
あとは、どれだけ賃貸人(この場合、あなたのことですが)のリスクを見込むかという話になります。
平均的な数値であれば、「賃貸市場のリスクプレミアムはどれぐらい見込むべきか」となります。
この辺は誰か経済に詳しい方にお任せした方が良いとは、思いますが、まあ、2%を下回るってことはまずないと思います。
前回の分譲マンション平均利回りを見ると5%でしたが、これを純粋な賃貸市場のリスクプレミアムと採用するのは少し違う気もしますが*1、市場に出ている収益物件の利回りはもっと高いという感覚もあります。
もっと言えば、金曜日の日経平均PERが14倍だったので利回り7%ってことですから、「株より不動産のほうがリスク高い」と考えている私としては、ちょっと、困ってしまう感じもあります*2。
まあ、もろもろ考えて5%ぐらい? というのが私の感覚です。
何だか、最後ぐだぐだで申し訳ないですが、結論として、私なら現在の不動産市場なら新築マンションは買わないですね*3。