不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

『賃貸よりも、実は買ったほうがトク!』を批判してみる


 手短に。

仮に、東京の郊外で家賃15万円の2LDKマンションを借りた場合、3年後=555万円、5年後=930万円、10年後=1860万円の支払い総額と
なります(更新費を含む)。
一方、同じく東京の郊外で3300万円の2LDKマンションを購入した場合(購入価格3300万円、頭金300万円、借入金3000万円、返済期間35年間、固定金利3%、ボーナス払いなし(※1)をくらべてみると・・・・

http://www.kekkon-j.com/special_feature/cam_ufj0702/?cid=gsumai

このように、10年間の支払い総額をくらべてみると、賃貸の場合は
1860万円なのに対し、購入の場合は1392万円。賃貸と購入では、
10年間でなんと468万円もの差が出てくるのです。
また、賃貸の場合は物価の変動によって家賃が上がる可能性もあり
ますし、引越しをするとなるとその都度資金が必要になります。
そういった面でも、購入するという選択肢は経済的といえるでしょう。


 この手の煽りはもう読み飽きましたよ、不動産屋さん。

初期費用が計算外

 不動産を購入する為には、様々な費用がかかります。仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、住宅ローンの手数料・保証料......
 控えめに見積もって、まあ購入額の3%ぐらいにしておきましょうか*1
 3000 * 3% = 90万円
 購入派のリードが378万円に縮まりました。

管理費修繕積立金が計算外

 マンションを買うと、月々の支払として「管理費」「修繕積立金」が発生します。
 マンションデベロッパーは売りやすくするために、新築物件は低めに設定していますので*2、まあ、合計1.5万円ぐらいにしておきます。
 1.5 * 12 * 10 = 180万円
 賃貸派、追い上げます。その差、198万円。

固定資産税が計算外

 不動産を持つと、毎年税金がかかります。
 3000万クラスのマンションですと、うーん、9万円ぐらい? もう少し高いような気もしますけれど。
 9 * 10 = 90万円


 とうとう、その差が108万円です。これでは「購入するという選択肢は経済的といえる」訳ありません。


「それでも、10年で100万円の差は大きいよ」ですって?
 あー、そうですね。
 でも、大事な事をお忘れです。

頭金が計算外

 最初に、自己資金を300万円使っていますね。
 これで、賃貸派が200万円逆転しました。
 ついでにもう1つ。

割引率が計算外

 賃貸派は余剰の300万円を投資に回せます。
 今、国債のサイトにいったら、税引き後利回りが1.2%だったので、堅実にその辺りを適用してみましょうか。
 300 * ( 1 + 0.012 * 12 ) = 約343万円*3
 賃貸派が240万円の差をつけて勝利でした。


 このサイトでも何度も申し上げていますが、持ち家はファイナンス的に不利です。ライフプランニングなしに家を買ってはいけません。


 ちなみに、一番経済的に合理性がある住居は「親と同居」です。『パラサイト』とか『イエ男くん』とか、お前らバカかって感じです。
 
 
 

*1:とはいえ控えめすぎます。現実には8%ぐらい見て下さい

*2:そして後で値上げ

*3:複利計算しないのは武士の情けですw