以前、京都の更新料裁判について「更新料は前払い賃料だ」というエントリを書きました。
はてブなんかを見ると、やはり借主側な意見が多かったみたいです。
また、こんなコメントもつきました。
勝訴 『根拠の無い変な理屈w
法定更新・紛争防止条例・宅建協会・消費者契約法も守れない
違反な悪徳業者がウンチク並べてんじゃねぇよ』 (2007/06/05 04:19)
↓しかし、こんな記事が。
これに対し、財団法人「日本賃貸住宅管理協会京都府支部」(北区)は「業界全体にかかわる問題」と貸主の支援を決め、これまで貸主側の立場で訴訟に参加した京都の弁護士10人が「貸主更新料弁護団」(代表・田中伸弁護士)を立ち上げた。近く全面的に争う趣旨の答弁書を提出するとともに、京都地裁への訴訟の移送も申し立てる方針という。
お知らせ : 京都新聞
18日に簡裁で第1回口頭弁論らしいので『勝訴』はガセですねー。一生懸命調べてしまった時間と手間をどうしてくれる。匿名コメントに謝罪と賠償を(ry
それはそれとして、以下に「更新料」について、違反な悪徳業者がもう少しウンチク並べてみます。
名目を変えて取れば良い
原告が勝っても、業界のシステムは変わらないでしょう。
それは、何故か。
名目を変えて取れば良いからです。
たとえば、『敷引き』
『敷引き』がダメなら『礼金』に名目を変えればいいんです。実質同じなんだから。『礼金』もダメなら『賃料前受金』にでもすればいい。総体で同じお金が取れればいいんです。
いや、実際の話。
住宅金融公庫から融資を受けた賃貸住宅って、「更新料」を取っちゃいけないんですけど*1、別名目でとってるとこ、たくさんあるでしょ? 建物の入口にそれっぽい表示をしているマンションに住んでる人、契約書よく見てみると面白いかもしれませんよ。
更新料は前払い賃料
匿名コメントさんには「根拠の無い変な理屈w」と言われてしまいましたが、実際のところ「更新料」を「礼金」と同じく前払い賃料の性質を持つ、とした判例もあることはあるんです。
また、オーナーはビジネスで賃貸をやっています。「更新料」がダメなら「賃料」を上げるしかない、これは当然です。
そして、以前のエントリに書いた通り、「更新料」の部分が「賃料」に乗ってくるということは、短期間で引越しをしてしまう人たちのコストを、長期間賃借する人たちが一部負担するということです。
オーナーとしては「更新料なし賃料上げ」でも収入がおなじなら、別にそれほど困ることはないでしょう。全てのオーナーが横一列でそのようにしてくれれば、損をするのは長期間賃借している人たちだけです。
更新料で得をしている人たち
「オーナーが困らないなら、更新料をなくしてもいいじゃないか。その方が分かりやすいぞ」
そう仰る人がいるかもしれません。
そして、全くその通りなのです。
しかし、本当に更新料がなくなって困る人たちがいます。それは誰か。
そうです、不動産屋なんです。
更新料1ヶ月分があれば、地域にもよりますが半分を不動産屋が持っていきます。残りの半分がオーナーの取り分です。賃料10万円ならば、5万円が不動産屋に入るわけです。原価は人件費とほんのちょっとの通信費*2、良い稼ぎになるわけです。
オーナーは「更新料」を「賃料」に乗せれば損はない。でも、不動産屋は乗せるところに困ります。せいぜいオーナーからの管理手数料を上げるしかありませんが、それではオーナーに逃げられるかも。
「更新料の行き先」を明記すべき
正直に申し上げますと。
不動産屋というのは、更新料のような外からは構造が分かりづらい、あいまい部分で細かく細かく稼いでいます*3。更新料はその最たるものでしょう。
更新料について、私が提案するシステムは以下の通り。
- 「更新料」と「更新手数料」を分ける
- 「更新料」はオーナーの取り分、「更新手数料」は不動産屋の取り分。
- 両方の金額を、契約書に明記する。
- さらに、期間満了時退去と仮定して「更新料」「礼金」などを各月にならした「想定月額費用」を広告チラシに明記する。
こうすれば、借り手からしても費用総額が分かりやすく、お金の流れが明確です。
でも、無理だろうなあ。不動産屋(゚⊿゚)イラネ