引っ越し・住み替えシーズンなので、物件チラシなどの広告に関するクイズをします。
不動産業界の方には簡単すぎると思いますので、消費者の方向けとご理解ください。
以下の賃貸物件キャッチコピーの内、不動産広告の規約違反の恐れがあるものはどれでしょう?
- リフォーム済物件!この機会にぜひご覧ください!
- スーパーコンビニ徒歩圏内で生活に便利です!
- 賃料値下げしました!8.0万円→7.5万円!
- オートロックでセキュリティ万全!
- 平成26年3月いっぱいまでご契約の方、キャンペーンにつき礼金50%OFF!
正解はこちら
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全部アウト!
だと思った方、残念でした!
正解は1〜4です。5だけがセーフです。
以下、解説します。
「リフォーム済」だけはアウト
「リフォーム済物件!この機会にぜひご覧ください!」については、
(21)建物をリフォーム又は改築(以下「リフォーム等」という。)したことを表示する場合は、そのリフォーム等の内容及び時期を明示すること。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則
とあるとおり、リフォームの内容と時期を明記しないのがダメです。ですから、このキャッチコピーでもチラシの別の場所に「リフォーム時期:平成23年11月、リフォーム箇所:キッチン交換、フローリング交換」などと書いてあれば大丈夫です。
「徒歩圏」がアウト
「スーパーコンビニ徒歩圏内で生活に便利です!」については、
(31)デパート、スーパーマーケット、商店等の商業施設は、現に利用できるものを物件までの道路距離を明示して表示すること。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則
とあるとおり、距離を明示していないのがダメです。ですから、このキャッチコピーでもチラシの別の場所に「スーパーマーケットまで約1200m」などと書いてあれば大丈夫です。
「値下げしました」がアウト
「賃料値下げしました!8.0万円→7.5万円!」については、
賃貸物件は、これら要件を満たしていたとしても二重賃料表示はできません。
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会−不動産広告の相談事例−
とあるとおり、賃貸物件に関しては「値下げ表示」自体アウトです。
なぜかというと、アパートマンションは経年劣化していくので賃料が下がっていくのが自然であって、その値下げが経年劣化によるものなのかあるいは価格面で競合物件に優越しているのか周辺事例を参照しないと判断がつかず、そのような情報を持たない消費者に「優良誤認」をさせる恐れがあるから、ということらしいです。
これは、中古車・ペット・生鮮食品なんかでも同じらしいですね。
「万全」「完璧」「抜群」などは直球でアウト
「オートロックでセキュリティ万全!」については言うまでもないと思うんですが、
2 事業者は、次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除き、当該用語を使用してはならない。
不動産の表示に関する公正競争規約
(中略)
(1)物件の形質その他の内容又は役務の内容について、「完全」、「完ぺき」、「絶対」、「万全」等、全く欠けるところがないこと又は全く手落ちがないことを意味する用語
とあるとおり、全然ダメです。そもそもオートロックごときでセキュリティ万全とか笑わしてくれますよね。
値引き条件の明示はセーフ
「平成26年3月いっぱいまでご契約の方、キャンペーンにつき礼金50%OFF!」については
一定の条件に適合する取引の相手方に対し、販売価格、賃料等から一定率又は一定額の割引をする場合において、当該条件を明示して、割引率、割引額又は割引後の額を表示する場合は、不当な二重価格表示に該当しません。
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会−不動産広告の相談事例−
とあるとおり、広告にうたって大丈夫です。ただし、キャンペーン期間が延長を繰り返す「ずっと俺のターン!」な広告は虚偽表示ということになるかと思います。
以上、いかがでしたでしょうか。意外と不動産広告の基準が厳しいことに驚かれたかと思います。そして、それほど守られていないことにも気づかれたかと思います。
見つかると処分を受けるんですけど、個人的にはちょっと厳しいというか細かすぎるような気もしますですので、ええ、まあ、守りきれてない部分もあるのかなあ、などと思いました。あまり人のことも言えないのですが。