不動産屋のラノベ読み

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放射能とタバコのリスク比較はよい手段ではない

 
 こんなまとめが。
放射能とタバコのリスク比較を許容するか - Togetterまとめ
「身近なリスク要因である喫煙とリスク比較することによってリスクの理解を早めるだろう」という主張があったのです。
はてなブックマーク - 放射能とタバコのリスク比較を許容するか - Togetter
 ブコメでも概ねその主張に賛成が多い様子。
 
 でも、私はそれはどうかなあ、と思いますね。
 

身近なものがいいなら……

 身近なものがいいなら、タバコよりもっと適切なものがあると思うんですよね。だって、タバコだと非喫煙者には分からないじゃないですか。だれでも摂取していて、普段は極低リスクでただちに健康に被害があるレベルではないんだけど、長期的に大量に摂ると健康に影響を及ぼす可能性があるもの。
 
 はい、食品添加物ですね。
 食品添加物は1日許容摂取量がかなりの安全を取って定められているので、流通している食品での発ガンリスクはないに等しいと言っていいぐらい極微少です。
 ですが、大量に摂ればやはり健康リスクがあるでしょう。ですから、「1μSvの被曝食品添加物を通常のXXX万倍摂取するのと同じ程度のリスクです」と言える値があるはずです。
 
 なぜ、そう言わないのでしょうか。
 

食品添加物はリスクを過大評価されている

 それは食品添加物の発ガンリスクというものを消費者は過大評価しているからです。
 NATROM先生のブログで知ったのですが。
農薬はどうやら発がん原因として重要視されていないらしい - 栄養学のメモと活用
 こちらの記事の中央のグラフをご覧ください。がんの原因についての疫学専門家と主婦との比較です。
 ご覧のとおり、主婦は一番多くの人が食品添加物をがんの原因として挙げているのに対して、疫学専門家はほとんど挙げていません。
 
 つまり、放射能のリスクを食品添加物と比較してしまうと、必要以上にリスクを高く感じさせてしまうのです。
 
 さて、そのグラフにタバコの項もありますのでご覧ください。
 

タバコはリスクを過小評価されている

 もう説明はいらないと思いますが、放射能のリスクをタバコと比較すると、過小評価させる恐れがあります。
 
 といいますか。

喫煙者は普段からタバコの害については認識していて、吸い過ぎにも注意している。その分、コミュニケーションは効率的になる。なるほど、一日タバコ何本分かという理解は、実感しやすい。

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 とありますように、そもそも「タバコのリスクを正しく評価」していて初めて、放射能とタバコのリスク比較は意味があるものなのです。「タバコと比較することによって、専門家ではない人でも正しくリスクを評価する助けとなる」という主張には、そもそも、長期間の低リスクを人間は正しく評価できているという前提があるのです。
 しかし、本当ですかね? 本当に人間は喫煙のリスクを正しく感じていますか? 肥満による健康リスクは? 世の中、なんであんなにデブであふれてるんですかね? なんであんなに「吸い過ぎには注意しましょう」とか「太りすぎに注意しましょう」とか何度も何度も注意喚起されなきゃいけないんでしょうね?
 
 
 
 リスクの定量評価はデータさえあればそれほど難しいことではないのでしょうけど、相対リスクと絶対リスクでは感じ方か異なったりとか、どうにも人間っていうのは遺伝的に「確率オンチ」なんじゃないかと思わせられるところがあって、だからといって身近なものと比較してみるとソレにはソレなりのバイアスが潜んでたりして、まあなんとも難しい話ですな。