影響が大きそうな判決出ましたね。
裁判で家主側は、「更新料には賃料の補充的要素がある」などと主張したが、辻本裁判長は「更新後の入居期間にかかわりなく賃料の2か月分を支払わなければならず、賃借人の使用収益の対価である賃料の一部とは評価できない」と指摘。そのうえで、「家主が主張する更新料の性質に合理的理由は認められず、趣旨も不明瞭(めいりょう)。男性に具体的かつ明確な説明もしていない」などと述べ、契約条項は無効と判断した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090723-OYT1T00700.htm
ただ、更新料は「これで無効」とは行かないでしょう。京都更新料裁判の判決要旨を見直してみる。 - 不動産屋のラノベ読みでも書きましたが、同じ京都地裁で2008年1月に賃料2か月分の更新料特約を認める判決が出ていますし、敷引き特約についても
「敷引き有効」―家主側は圧倒的に不利と思われていた敷引き訴訟だが、大阪高裁は一審の京都地裁判決に続き、入居者側の訴えを退け、敷引き特約の有効性を認めた。さらに、自然損耗原状回復費用まで借主負担とする特約が定められていたことから、「自然損耗の原状回復費用は有無を言わさず家主負担」という従来の認識を覆すものとなった。
http://www.zenchin.com/news09070601.html
と、実は敷引を認める高裁判決が出ているのです*1。
この他にも更新料裁判については貸主に有利な判決が多く、だからこそ「初の判断」なのですが、それでも京都地裁の判断だけでひっくり返るということは難しいでしょう。先にあげた2008年1月の判決ですが賃借人が控訴しており8月下旬に判決が出るそうですので、注目したいところです。
更新料についての個人的な考え
更新料は法に触れるものではないと考えています。今回の判決ですが、判決文を早く読んでみたいところですが、「家主が主張する更新料の性質に合理的理由は認められず、趣旨も不明瞭(めいりょう)。男性に具体的かつ明確な説明もしていない」とあるので、十分な説明があれば更新料もOKと取れます。
そもそも、「200円のリンゴを500円で売ってはいけません」みたいなことをお上が決めるのは好きではないです。パターナリズムではないかと思います。
ただ、更新料はなくなった方がいいと思います*2。そして、敷金礼金はあってもいいと考えています。理由を書くと長くなるので書きませんが、更新料はいらないと思います。
更新料をなくすためのキーポイントは2点だと思います。
- 消費者は「賃料高め更新料なし」の物件と「賃料ふつう更新料あり」の物件のどちらを選ぶか。
- 更新料の不動産屋の取り分をどこで補うか。
1番目は、今までは2年以内に退去すれば更新料は必要ありませんでしたが、大家もビジネスですから更新料で取れない分は毎月の賃料に乗ってきます。さて、どちらを市場が選ぶのでしょうか。ちなみに大東建託の物件は全国更新料なしですが、それほど絶賛されているところを見た事がないですね。本当に更新料なしのニーズはあるのでしょうか。
2番目は、地域にもよりますが、更新料の内0.5か月分は不動産屋が持っていきます。ウチの会社はそれほど大きくない賃貸管理会社ですが、それでも年間の売上にすると1,000万円を超えます。カツカツでやってる管理会社は潰れない為にどこからか同じ額を取る必要がありますが、どこから取るでしょうか、というか入居者から別の名目で取るしかないと思います*3。それもできないなら定期清掃の頻度を減らすなどサービスを落とすしかないでしょう。