売主にも重要事項説明した方がいいのか、と思いました。
東京都足立区の機械修理・販売業佐々木亨さん(52)の一家4人が死傷した無理心中事件で、佐々木さんが事件直前に不動産会社と結んだ土地の借地権を売る契約について、地主から異議を唱えられていたことが警視庁の調べでわかった。同庁は、地主の反対で借地権売却が頓挫すると思い込み、将来を悲観して事件を引き起こした可能性があるとみて調べている。
http://www.asahi.com/national/update/0217/TKY200802160236.html
痛ましい。
「借地非訟手続」というのがあって、地主の承諾を得なくても借地権譲渡できるのに。
第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
借地借家法
ニュースで映ってた重要事項説明書を見ましたが、地主の承諾を得ていないことは記述してありました。「借地非訟手続」も重要事項説明で行っていたでしょうし、買主も事前に知っていて了承していただろうことが伺えます。だから、取引としては真っ当なモノだったはずです。
なのに売主が知らなかったのは何故でしょうか。
良くある話なんですが、売主は重説を受けていないんでしょう。法律上は重説は買主に対して行うものですし、たいていの場合、売主もこれから所有権を手放す物件について1時間近く説明を受けたいとは思わないものです。売主には30分ぐらい後に来てもらうことも良くあります。
契約書にはたぶん「○月○日までに、借地権譲渡の承諾が得られない場合白紙解約する」のような特約があったでしょうけれど、「借地非訟手続」の説明は重説とかぶるので漏れてしまったのかもしれません。
事前に理解してればもう少し落ち着いて対応できたかも知れない、と考えると、仲介した不動産屋も何とも後味が悪いでしょう。重説にも売主に参加してもらった方が無難なのかもしれません。