従来の不動産仲介手数料は、定額制のパケ放題みたいなものだった訳なんですが、従量制の動きが出てきそうです。
Googleで「仲介手数料」で検索すると、仲介手数料半額とか無料とかの業者が結構出てくるようになりました。
ちぎっては投げ:最近仲介手数料を割り引く不動産会社が増えてきた - livedoor Blog(ブログ)
ネットがなかった時代は、消費者は業者を比較しようにも、自分の足で何軒も不動産屋を回らないと、それぞれの特徴、取引条件などを知ることができませんでした。そうしたところでせいぜい一日5〜6軒というところだと思います。
でもネットは楽です。Googleで検索し、いろいろな特徴を持つ業者を自宅にいながら見つけることができます。すなわち、キーワード検索すれば手数料を割り引いている業者を探すこともできてしまうわけです。
こうなれば、ネット証券が成功したのと同じことが不動産仲介業界にも起きると思います。
賃貸に限って言えば、「手数料無料」はオーナーさんからの広告料で補ってるんで、業者は痛くないんです。
しかし、売買の場合はそうではありません。
すでに、重説契約書作成だけを定額でやっているところもあります。そして、今後、この流れは進むでしょう。
つまり、不動産営業の分業化です。
仲介料は全てコミコミ
不動産売買仲介営業は、そもそもカバーする範囲が広すぎます。
この他、当然営業職が持っているべき「提案力」「ヒアリング能力」辺りが問われます。収益物件の取扱なんかしたら、もっと大変になります。
これら全ての仕事に対しての報酬が仲介手数料なのです。何回案内しても、ライフプランニングしても、基本的に定額。
サービスの向上には分業
しかし、これら全てにおいて充実している営業は少ないでしょう。どこかが手薄になります。
「営業トークはうまいし信頼できそうな営業なんだけど、建築知識が弱い」
「FP能力は高いけど、地域の事をあまり知らない」
と、それぞれ個性があります。その弱点に取引の瑕疵がはまってしまうこともあるでしょう。
であるならば。
はじめから、得意分野に分業しておけば良いのです。
- 顧客がネットから物件を検索し、情報を手に入れ
- 顧客が選んだ地域に精通した案内専業不動産屋に、物件を案内してもらい
- 顧客が選んだインスペクション業者を連れて行き、建物をチェックし
- 顧客が選んだライフアドバイザーに、間取の使いやすさや生活環境をチェックしてもらい
- 顧客が選んだファイナンシャルプランナーと、住宅ローンや税金の相談をし
- 顧客が選んだエスクローサービスが、重要事項説明書・契約書を作成する。
こうすれば、質の高いサービスが手に入ります。
サービスごとに従量制
しかし、当然、それぞれの業者に別々に手数料を支払わなければなりません。
案内1回5千円とか、インスペクション1回20万円とか、ライフプランニング1回10万円とか、エスクロー20万円とか。無駄な動きをすると、どんどん費用がかさんでいくでしょう。定額の方が安かった、という場合もあると思います。また、それぞれの業者を見つけてくる手間も増えます。良い業者をひとつひとつ探すのは意外と骨かもしれません。
自由化は自己責任
「そんなのめんどくせーよ」という人もいるかと思います。
でも大丈夫、分業化が進んでいけば、総合的な提案をしてくれる「不動産アドバイザー」なる人種が必ず現れます。自分のコネがある優秀なスタッフで全てをサポート。あなたは座って希望を言ってくれれば万事オーケー。
その分の手数料は、もちろんお高いんですけどね。
「手間かけたくねーけど、余分な金も払いたくねーよ」
そんなあなたは、不要なものを省いちゃいましょう。インスペクション省略。ライフプランニングなし、給料振込銀行でおすすめローン組んで。多少のリスクは背負うでしょうけど、節約したお金とのトレードオフ。転んでも泣かない。
不動産取引の二極化
そういうわけで、顧客ニーズは二極化するでしょう。
「コストをかけて、安全な取引」
「コストを抑えて、自己責任」
結果、頂いたお金に相応しいプランニングができない不動産仲介屋は滅びていくでしょう。これは顧客にとってメタ的には良いことでしょう。
......転職先探しておくかな。