不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

18歳までに結婚できないと魔女になるラノベ

 
 
 30歳までに童貞だと魔法使いになれる、みたいなネタがありましたが。
 
 そういうラノベがありました。
 セールで買ったのですが、なかなか面白かったのでご紹介。

いきおくれ姫の選択 未婚の魔女にも明日はくる (コバルト文庫)

いきおくれ姫の選択 未婚の魔女にも明日はくる (コバルト文庫)

ここが好き

「今の世の規範どおりに魔力を捨てられる女もいれば、それができない女もいる。そして魔力を捨てられなかった女たちは、運よく捨てることのできた女たちや、魔力と関わりのない男たちに見下され、蔑まれることが当然だと自らを卑下して生きるようになるのです。」
 それがどういうことかわかりますか、と問われたルーカスは、言葉を失ったままラティアを見つめた。静かな威厳をたたえたラティアは答えを期待していなかったのか、再び口をひらく。
「魔女たちは、自らがどんなに見下されようと、理不尽な目に遭おうと、それが当然なのだと受け入れてしまうんです。同じ魔女たちがどれほど嘆き、苦しんでいても、当たり前のものとして怒りや悲しみを鈍らせ、その痛みに慣れようとする」
(略)
「…………それでは、ただの奴隷だ」
 重くのしかかる感情にルーカスはうなだれたまま、低くうめいた。その言葉が、サナティアや目の前のラティアを侮辱するものとわかっていても、止められなかった。 ラティアは表情を変えることもなく、静かにうなずく。
「ええ。私たち魔女は無意識のうちに、自らを奴隷に貶めている」

 これ、女性問題を仮託して読む人が多いと思いますけど、男性だって同じで、「やらみそ」だからといって俯いて生きる必要はないし、自らを貶める必要はないわけです。
 同時に、頭を押さえつけられ続けて顔を上げることができなくなった人たちに「下ばかり見てるからそうなるんだよ」などという言葉は発したくないな、などと思いました。
 
 しっかりフラストレーションからのきっちりカタルシスがあって、なかなか爽快でした。
 もうちょっとこういう作品読みたいな。
 

ここが気になった




 結局、二人が結婚してしまったのは残念でした。 そこは別に友情でいいじゃないか、と思います。
 ルーカスとサナティアが結婚すれば、「魔女だって結婚していいんだ」となる、みたいな話が出てたけど、それって結局は「結婚していないと下に見られる」みたいな価値観を捨て切れていないし、もっと吹っ切れた世界を見たかったなあ、と。

 まあ、ラノベだし、あまり深く考えない方がいいのだろうな、とは思うけど……
 
 
 

蛇足

 なろう系は「願望充足の道具」みたいな批評を受けることがありますが、女性向けのラノベって「ガラスの天井」を突き破るような話が時々あって、なかなか興味深いですよ。
 この前、男性向けのレーベルで、女性が「ガラスの天井」を破ろうとするラノベが出てて、なかなか新鮮でした。*1
 これ、どの方面にウケるのかな……?

 
 

*1:面白かった、とは言わない