不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

独居老人になると節税ができる

 
 宅建協会のパンフレットで平成28年の税制改正革大綱が解説されていました。*1
 この中で面白いなあ、と思ったのが空家対策のための特別控除です。
 
 ちょっと解説しますね。
 
 

不動産譲渡所得税とは

 まず、不動産譲渡所得税の話を説明しますね。ご存知の方は読み飛ばしてください。
 
 これは、不動産を売買した時に利益が出た場合の税金です。
 たとえばですね。

  • 4000万円でマンションを購入
  • 4500万円で10年後に売却

 こういうことがあったとすると、利益が500万円で、ざっくり100万円が税金になります。*2
 
 けっこう、持って行かれますでしょ?
 
 もちろん、買った不動産が上がって利益が出る、なんてことはそうそうないです。ただ、買った時の金額が分からない場合は「売買価格の5%で取得した」と概算でみなされてしまいます*3。これが厄介。
 
 たとえば。

  • 親から家を相続
  • いくらで買ったのか分からない
  • 4500万円で売却

 こういうことがあったとすると、4275万円が利益で、ざっくり855万円が税金になります。*4
 
 すごい持って行かれ方でしょ?
 その辺を踏まえまして、次に特別控除の解説をしますので読んでください。
 
 

相続空家3000万円特別控除

 今回の3000万円特別控除は

  • 亡くなった方が住んでいた家屋、またはその敷地を、
  • 相続してから3年以内に売却した時に、
  • 売却利益から3000万円控除する。

 というものです。
 
 先ほどの例でいきますと、4275-3000=1275万円が課税利益になり、税金は255万円に減ります。*5
 600万円の節税です。
 
 ただしいくつか条件があり、そのうちのひとつに

  • 相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住者がいなかったものであること

 というものがあります。
 考えてみれば当然ですよね。亡くなった人の配偶者が一緒に住んでいれば空家にはならないですから、「空家対策」の特別控除から外れるのは当然です。
 

独居老人を作って節税しよう

 もうタイトルの意味はお分かりかと思いますが。
 
 地方にお住まいの年配のご夫婦がいらっしゃって、土地家屋がご主人所有、息子さんは都内に一戸建てを買っており戻ってくる予定がないとします。
 ご主人が亡くなって、奥さん1人はかわいそうだから息子さんと同居をすることになり、相続をした息子さんが使わなくなった家屋を売却しようとした場合、この特別控除は受けられません。
 事前に、奥さんが息子さんと同居したり、高齢者住宅に転居するなどして、ご主人を独居させる必要があります。
 
 独居老人の価値、600万円です。
 
 
 
 
 
 
 奥さんが土地建物を全部相続して、居住用財産3000万円特別控除*6を使えば同じことですけどね!