もっと早く取り上げるつもりだったのですが、もたもたしている内に日経で記事になってましたね。
裁判所が行う競売手続きの改善策などを検討している自民党の「明るい競売プロジェクトチーム(PT)」(佐藤剛男座長)は、競売に至る前の不動産の任意売却で、関係者全員の合意がなくても抵当権を抹消できる制度を創設することで一致した。22日の会合で、制度創設のための改正民事執行法案などを今国会にも提出することを確認する方針だ。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20080521mh03.htm
(略)
抵当権を抹消するには競売にかけるしかないが、任意売却よりも時間がかかり、価格が下落する傾向にある。PTは不動産所有者の合意を得て先順位の抵当権者が裁判所に抵当権の抹消請求をすれば、一定期間内に後順位の抵当権者が売却先を見つけるか、競売を実施しなければ抵当権を抹消できる制度を導入し不動産売却の迅速化を目指す。
これはどういう制度かというとですね。
例えば、X所有の1億円の不動産があって、Aが1番抵当権9000万円、Bが2番抵当権1000万円を登記していたとします。
ここでXが借金を払えなくなった場合、不動産を売却してAが9000万円、Bが1000万円を受け取れば何の問題もないわけです。
ですが、不動産の価値が減少して、例えば5000万円になってしまった場合どうなるでしょう。
現在の制度では、Aが損切覚悟で5000万円で売却したいと思っても、Bが抵当権抹消に同意しないと売却できません。例えば、「こちらの債権全額分1000万円よこさないと、同意しないよ」とかごねることも可能なわけです。
この案が成立すれば、AはBに対して「任意売却するので、抵当権抹消して下さい」という請求ができてしまいます。もちろん、この場合Bは1円も得られないことになります。
これは良い制度です。
抵当権がベタベタついてて、もうどうにも動かせない物件というのは結構あるので、金融機関とかサービサーとか任売屋さんとかはうれしい制度でしょうね。もちろん、不動産屋としてもやりやすいです。債権者も、競売よりも任意売却の方が高く売れやすいですし融通も利くので、おそらく良い事なはずです。
困るのは、債務者をそそのかして小銭をつまみに来た金貸しぐらいじゃないですか?
あとは、これからは2番抵当権とかますます価値がなくなるってことで、残存担保価値が残っていても金融機関は融資しづらくはなるでしょうね。
しかし、「明るい競売プロジェクトチーム」ってネーミング、もう少し何とかならなかったのかね。
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