不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

瑕疵担保責任のよくある誤解

 中古住宅を購入し、1年経ったのですが、シロアリ被害が疑われたので専門業者に点検してもらったところ、シロアリが発生していました。

 我々が入居前の過去の被害も随所に見られ、補修の痕もあるとのことです。購入時の『物件現況報告書』には、「現在までに白蟻の被害発見無」の欄にチェックが入っていました。

 シロアリ駆除業者の話によると、建物の角の一部土台が食われており、耐震上不安があるかもしれないというのです。これは瑕疵担保責任にあたらないのでしょうか。1年以上経過してしまいましたが、どうしたらいいのでしょう。

http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/soudan/20070619hg04.htm


 この解答欄が何となく分かりづらいので、代わって説明してみます。


 さて、

 我々が入居前の過去の被害も随所に見られ、補修の痕もあるとのことです。

 とのことなのに、

購入時の『物件現況報告書』には、「現在までに白蟻の被害発見無」の欄にチェックが入っていました。

 とあるので、虚偽あるいは過失の申告の可能性があります。

虚偽申告には瑕疵担保責任特約は無効

 もし、シロアリの被害があったことを知っていたのに「現在までに白蟻の被害発見無」と虚偽の報告をした場合、瑕疵担保責任特約は無効になります。免責にしていても免責にならないということです。

(担保責任を負わない旨の特約)
第572条 売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

http://www.houko.com/00/01/M29/089B.HTM#572

 たとえ虚偽と明らかに認められなくても、「分かってなくてはおかしいだろ」という過失について虚偽と同じように認められた判例もあります。


 この売買が短期の転売であった場合は、本当に「隠れた瑕疵」であるかもしれません。しかし、売買後1年以内とのことなので、その場合は「業者2年」の範囲内ですから、売主に瑕疵担保責任があるでしょう。


 つまり、このケースはどちらにせよ、損害賠償を請求できそうです。あきらめずに頑張っていただきたい。

中古建物取引にはインスペクションを

 とはいえ、やはり中古建物*1を売買する時にはインスペクションサービスを利用すべきです。
http://www.sakurajimusyo.com/expert/tatemono-tyousa-k.html
JIO | 住宅かし(瑕疵)保険の日本住宅保証検査機構
 ↑このあたりが有名なところですね。
 数千万の買い物です。数十万円の出費で安心を買えるなら安いものだと思うんですが、何故か普及しませんね、インスペクション。

*1:新築は品確法があるので少し安心