不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

大震災を経ても「持ち家派」の勢力は健在のようです

 
「賃貸と持ち家どっちがいいの?」という、まあ、ある意味正解のないテーマのお話です。
 

所有のリスクを意識させた地震災害

 3月11日の地震は、私が住んでいる水戸でも震度6強を観測しました。
 ライフラインは寸断し、私が住んでいる賃貸マンションも電力が復旧するまで4日ほどかかりました。それでも周辺の市町村よりはだいぶマシでした。
 ウチの会社には管理している物件からのサービスコールが殺到し、2日間で前年度同月の1ヶ月分修繕依頼が来ました。それも「液状化で浄化槽が浮き上がった」「天井が落ちてきた」「給水ポンプが大破した」とかハンパない案件ばかりです。
 それでも、管理会社に電話をすれば修繕してくれる賃貸住宅はまだいいでしょう。水戸に来ていただければ分かりますが、未だに修繕が終わっていない一戸建てがたくさんあります。全て修繕されるまで、まだまだ時間がかかるでしょうし、それ以前に修繕費用を用意するのが難しい方もいらっしゃいます。
 
 もっともっと本当に被害の大きかった東北では、津波で家が流され住宅ローンだけ残ったという話も聞きます。「家を所有すること」はリスクである、ということを改めて実感させられました。
 

地震前後で意識が変わったかアンケートしました

 そういうわけで、地震が「賃貸派vs持ち家派」の勢力図を書き換えたのか知るためにアンケートしました。
 私の予想としては、やはり所有のリスクを感じ「賃貸派」が増えただろう、というものでした。

持ち家派?賃貸派? に関するアンケートです。
持ち家派=「その他の事情が許すなら、一戸建|マンションを購入して住んだほうがいい」と考えている人たち
賃貸派=「不動産を所有せず暮らした方が自由でリスクが少ない」と考えている人たち
という区分けで、あなたは?

持ち家派ですか?賃貸派ですか?

「東北地方太平洋沖地震」以前は、持ち家派でしたか?賃貸派でしたか?

 

あまり変化なし

 ごらんのとおり、あまり変化が見られません。
 ここで、

持ち家派 +1
どちらかというと持ち家派 +0.5
どちらかというと賃貸派 -0.5
賃貸派 -1

 としてその平均を「持ち家派指数」としましょう。すると
地震後0.32
地震前0.36
 となりました。やはりあまり変化は見られません。アンケートの誤差を超えるものではないと思います。
 
 クロス集計を見ると、「持ち家派」から「賃貸派」への転向は見られますが、その逆はいませんでした。しかし、全体から見るとごくわずかです。
 その他、属性でのクロス集計は世代差以外には特に見られませんでした。
 
 つまり、持ち家プレミアムは健在ってコトですね。
 

持ち家プレミアムとは

 日本では持ち家物件は賃貸物件より割高なのですが、その価格差を「持ち家プレミアム」と呼びます。
 冒頭の「賃貸と持ち家どっちがいいの?」のテーマに対して、よくこういうことを言う人がいます。

市場原理が等価になるように調整するのでどっちも同じ。はい終了。

 こういう人、浅はかですね。「パンとごはん、どっちがいいの?」と聞かれても「どっちも同じ」と答えるんでしょうか? これを演繹するとこの世のお金で買えるものは全て等価です。意味のある考察ではありません。
 ものの価格は「欲しいと思う人が多い」ほど、そして「ものが少ない」ほど高くなります。先ほどのアンケートをご覧ください。地震前後でも「可能なら持ち家」という人が多数派であることに変化はありませんでした。
 
 つまり、持ち家プレミアムは健在ってコトですね。
 
 
 

とはいえ

 ただ、将来的には日本の人口は減っていますので、住宅が供給過剰になっていきます。というか、すでに過剰気味です。そうなってくるといくら「持ち家派」が多くても需要が満たされなお住宅が余っていくことになります。
 ある予測では「住宅着工数を半減させても2040年には空室率30%」ということです。
 そうなってくると、一部の住宅には「持ち家プレミアム」が働かなくなっていくでしょう。一部の住宅、とは低価格層物件です。なぜなら付加価値の高い住宅は最後まで空室率が上がらないからです。