最近(でもないのかもしれませんが)、「エチカの鏡」はすっかりトンデモ番組になっちゃってますね。
この前見た時には、生まれた順番(長男だとかひとりっ子だとか)で性格を診断する、っていう内容だったんです。まあ、生まれは性格に影響を与えうると思うので、それだけではトンデモというつもりはないんですが、その診断をしてる方というのは心理学者ではなくて宗教学者の島田裕巳先生。専門家ではない上に実証データがあるわけではないらしいので、まあ、診断っつーよりはどっちかというと「占い」ですね。どう見ても「バーナム効果」です本当に(ry
いや、しかし。
もうすでに日本文化の一部と化してきた感がある「血液型占い」もそうですが、やっぱり人間というのは「ご神託」をどこかで欲してるんだろうなあ、と思っていたら。
ちょっと意外なものを見つけました。
iTunes の App Store で配信中の iPhone、iPod touch、iPad 用 ザ・手相
iPhoneの手相診断アプリなんですが、ユーザーレビューを見るとかなりの割合の人が「試すたびに全く結果が違う」とか「ランダムで結果を出してるだけなんじゃないか」と評価を低くしているのです。
この人たちに松岡さんの「究極の血液型心理診査」の話をしたらどういう顔をするんだろうな、と思わないでもないのですが、まあともあれ、現代に生きる我々は不遜なことに「ご神託」にも理屈を求めるようです。おみくじ辺りで満足してりゃいいのに小面倒な話ですね。
で、思ったんですが。
我々は「理由」が欲しいんだろうなあ、と。
自分はどうしてこういう性格なんだろうとか、どうしてこういう境遇なんだろうとか、どうしてこんな容姿なんだろうとか。そういう簡単に答えを求めることができないモノに「それなりに説得力のある分かりやすい理由」が欲しい。
最近話題のホメオパシーなんかも、この辺の欲求をうまく利用しているのだと思います。「この痛みはなんだろう」「なぜこんなに苦しいんだろう」という理由を探して病院に行っても、医者は簡単明瞭な理由を「ご神託」してくれません。多くの場合「XXの疑いがあります。お薬を出して様子を見ましょう」となります*1ので、「理由」を探してる人にとっては不満が残ったりします。ホメオパシーはそこに「標準的な西洋医療は対症療法だから云々」と「理由」を提供してビジネスにしているのでしょう。
ただ本題からそれますが、個人的には日本のホメオパシーはちょっと特殊だと思います。あれは、ホメオパスが患者をホメオパシーコミュニティに取り込んでしまうことによるマインドコントロールの一種だと思っています。ウィキペディアの「マインドコントロール」の項を読むと、ホメオパシーによく当てはまるように見えませんか?
話がずれましたが。
つまり、人間は「何か」について「それなりに説得力のある分かりやすい理由」をつけてくれる人に対してお金を出す、ということです。「理由をつける」ことは「神託ビジネス」になるってことです。不動産屋でもできそうな、なんかネタないですかね? お客様はお部屋探しの時にどんな「理由」を求めてます?
また、いわずもがなだと思いますが。
「神託ビジネス」にお金を払いたくない人は、簡単で分かりやすい説明ほど疑ってかかるといいと思いますよ。疲れる生き方だと思いますけどね。
*2