日当たりについては、誤解というか正しくない思い込みが良くあるようなので、エントリを上げます。
私は不動産屋ですが、建築の知識はどっちかというと苦手な方なので、なんだかんだ間違いがあるかもです。つっこみよろしく。
長くなりそうなので、2回を予定。
日のあたりが悪いと洗濯物が乾かない、布団なんかも湿気が多くなる。
三十歳女。一人暮らし十年目です。一度も引っ越ししてません。 私が引っ越..
最悪の場合目に見えないカビなんかで体調にも影響するので風の通りと一緒に見たほうがいいかも。
日当たりが悪いとジメジメしやすい?
「日当たりが悪いとジメジメする」というのは正しくないです。
結露はどうして起こるのか
まず、前提として、ジメジメの原因である結露は何故起こるのか、という事を説明します。必要ないかもしれないですけど、一応。
飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう)は1m3の空間に存在できる水蒸気の質量をgで表したものである。これは温度が小さいと小さくなる。
飽和水蒸気量 - Wikipedia
簡単に言うと、空気というのは温度が高いと水蒸気をたくさん持てるんですが、気温が低いと少ししか持てないんです。だから、暖かくて湿った空気が冷えると、今まで持っていた水蒸気を持っていられなくなり、手放します。これが結露となって現われるのです。
つまり、結露の条件は主に二つです。
- 温度差
- たくさんの水蒸気
どうして北側の部屋は結露しやすいのか
一般的に北側の部屋は結露しやすく、だから「日当たりの悪い部屋はジメジメしている」と思われがちです。
では、どうして北側の部屋は結露しやすいのでしょうか。
それは、北側の部屋というのは気温が低くなりやすく、南側の部屋からやってきた暖かく湿った空気が結露してしまうからです。先ほど述べた条件のひとつ「温度差」の仕業です。だから、仮に北側の部屋だけしかない家があれば結露は起こらないことになります*1。
つまり、日当たりの悪さは結露の直接の原因ではないです。それどころか、むしろ日当たりが良いと温度差が作られるので、結露の原因になりかねないのです。蒸留器を思い出していただければイメージしやすいのではないでしょうか。
結露を防ぐには
では、結露を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。
- 温度差を作らない
- 水蒸気をためない
結露の条件を考えると、当たり前ですがこの二つになります。
1についての具体的な方法は、断熱です。室内の気温より外気温が低いと外気との接触面に結露しますが、断熱を良くする事によってそれを防ぐ事ができます。結露と言えばサッシに起きる事が多いのは皆さんご存知のとおりですが、あれも断熱が一番弱い熱橋部分に結露が起きているわけです。
2についての具体的な方法は、換気です。風通しの良い部屋に住みましょう。最近のマンションなどは24時間換気が義務付けられていますのでそれほど気にする必要もないかもしれないですが、外気の湿度が高い梅雨時には除湿も必要でしょう。ジメジメしやすい場所と言えば押入れや風呂場ですが、これは風通しが悪い場所の代表ですよね。
日当たりが悪いとカビが生える?
「でも、日当たりが悪いとカビが生えやすいだろ?」とおっしゃる人もいるかもしれないですが、そうではないです。
カビ繁殖の3つの条件は以下の3つです*2。
- 温度
- 水分
- 栄養分
カビが生えないような温度にすると人も住めない部屋になるので、基本的にはホコリ(これは人の皮膚片などが含まれており栄養豊富です)と水分があればカビは繁殖します。つまり、先ほど述べたとおり断熱と換気が大事ということです。日当たりはあまり関係ないのです。
「でも、日当たりが良ければ紫外線が当たって除菌できるだろ?」という意見もあるかと思います。環境光で除菌効果はそれ程期待できないでしょうから、これは直射日光の話だと思うのですが、さて、では、「日当たり=直射日光」なのでしょうか?
というところで、次のエントリ「日当たりが良いってどういうこと?」に続きます。