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不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

『家賃の「契約更新料」はタダになる!?』について

不動産

 
家賃の更新料をタダにする方法 - ライブドアニュース
 この記事、なんか微妙なので補足しておくことにします。
(削除されたようなので↓からご覧ください。)
家賃の「契約更新料」はタダになる!? | 日刊SPA!

 

自分から動く必要はなし

 法定更新は『賃貸の条件に関する交渉が期限内にまとまらなかった』ことが前提になります。つまり、事前に家賃の値下げなどを大家サイドに申し入れており、それが拒否された場合に成立するものなんです。

家賃の更新料をタダにする方法 - ライブドアニュース

 違うかなあ。そもそも法定更新は

第二十六条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

借地借家法

 と書いてあるとおり「みなす」事項でありますので、「一年前から六月前までの間に」更新をしない旨などを通知しない限りは、更新とまったく同等の法律関係が確定されます。『賃貸の条件に関する交渉が期限内にまとまらなかった』ことが前提である必要がなく、たとえば双方が更新のことをすっかり忘れていれば法定更新されることになります。
 だから、うっかり『事前に家賃の値下げなどを大家サイドに申し入れ』たりなんかしたりするのは、違うと思うんですよね。この行為は、『相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知』をして法定更新が成立しない条件のひとつをクリアしたことになります。ここでいう『当事者』とは当然ですが借主のことでもあるのです。さらには大家さんに「あ、そうか、もう更新の時期だったか」と思い出させ、かえってヤブヘビになる可能性があります。
 正しいやり方は「期間満了までおとなしくしておく」です。相手から連絡がなければ法定更新完了です。相手から合意更新の申し出があってから条件変更の申し出をすればいいのです。
 

法定更新でも更新料を支払う必要がある場合も

 法定更新での更新料について判例は分かれています。

 更新料の特約が法定更新の場合には適用されないというのがYの主張であるが、当裁判所は、更新料の支払義務を特約により合意した当事者の意思は重視すべきであり、また更新料の額は家賃の1カ月分相当であり、高額なものでないと認められること、さらに、Yは、Xからの更新申出に対し本契約を更新するため印鑑登録証明書をXに送付しているなど、一時は、合意更新の意思を表明していたことを考え併せると、本件がたとえ法定更新であったとしても、本件特約は有効とすべきであると考える。

不動産適正取引推進機構 紛争事例データベース

 本件約定は、文言上は、合意更新と法定更新を区別していない。しかし、法定更新の場合には更新手続に費用がかかるとは通常考えられず、手数料に関するものは、合意更新が前提と認めるのが相当である。

不動産適正取引推進機構 紛争事例データベース

 まあ、どういう理由で分かれているのかはいろいろ意見のあるところでしょうけど、両方の判例とも26条1項の要件を満たしていない、つまり黙っていれば法定更新されているケースであったこと、そして前者の判例は一度合意更新する意思を見せたこと、については注目すべきかと思います。
 

解約の申し入れが3ヶ月前になるかも

 前述の借地借家法のとおり、法定更新は『その期間は、定めがないもの』とされます。
 期間の定めのない賃貸借の解約については、民法に定めがあります。

(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第六百十七条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
 一  土地の賃貸借 一年
 二  建物の賃貸借 三箇月
 三  動産及び貸席の賃貸借 一日

民法

 このとおりだとすると、「そうだ!明日引っ越そう!」と思ったとしても家賃を3ヶ月払う必要があります。一般の賃貸契約はだいたい1ヶ月前ですよね。
 だから、法定更新するのが一概に有利とは言えないのです。
 
 
 
……と、よく言われてはいますよね。
 蛇足なんですが、しかし、個人的にはこれは微妙なんじゃないかと思っていまして、たとえば国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では解約条項が

 乙は、甲に対して少なくとも 30 日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。

 となっており、この条項を民法618条「期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保」に関する特約とみなすのは、ちょっと無理があると思うんですが、みなさんどうですかね?
 また、これは定期借家には、

第三十八条
(略)
 5  第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。

借地借家法

 このような救済が入れられていることからも、借主保護のために長期契約で縛るというのは借地借家法の目的から外れるように思います。よくわかんないけどね。
 
 
 

追記:

 弁護士さんにツイッターで教えていただきました。あながち的はずれでもないかも。