不動産屋がdisられていたので過剰反応してみます。
不動産屋さんの仕事ぶりを見ていると、アナログがまだまだ現役で、情報のやりとりもFAXが中心で、FAXで送られてきた物件情報を大量にファイルして手で探す、という最近主流となったPC中心の仕事の方法と比べると旧態依然というか、よくソレで仕事できますね、というアナログ具合で驚いた。
賃貸物件を探すのに不動産屋さんは使えない - Money does not hurt your heart
あれは業界ぐるみで何とかしないとダメなんですよね。自分とこだけシステム入れても他業者からFAXで来るんだからどうしようもない。個店レベルでどうにかできる問題じゃないんです。業者によっては「空室一覧はデジタルデータで送るな」という社内規定があるところがあって結構疲れます。
もちろん、何とかした方がいいのは超同意です。誰か何とかして下さい、めんどくさいです。
紙は一覧性に優れる
ただ、紙のファイルを軽く見ちゃイカンですよ。
私は売買営業なので賃貸の案内はあまりしませんが、それでも2,30棟ぐらいの物件の内容ならすぐ話せますね。売買物件ならば100件以上頭に入っています。これは営業なら当然のレベルです。
また、賃貸物件だとメーカー物が多いので、内覧した事がない物件でも「あー、あの地域のあのメーカーのあのアパートプランね、はいはい」って感じにある程度の予想がついちゃうモンです。
で、そういった人間が物件を紹介する時ってどういう感じになるかっていうと、お客様の要望を聞き取りながら「アレが合いそうだなあ」「あー、ソレも良さそうだがちょっと高いかなー」みたいな感じに浮かんでくるんです。紙のファイルってその補助をしてるに過ぎないです。だから、不動産屋って「それ、ほんとに見てるのかよ!」っていう勢いでファイルめくってませんか?
紙がデジタルに劣るということはない
デジタルデータのいいところはたくさんありますが、検索性・再利用の容易さ・変更ログだったりするわけです。
ということは、「すでに頭の中でインデックス作成済」の不動産営業にとっては検索性はそれほど重要でなかったりします。むしろ、「高速で紙をめくれる一覧性の高さ」とか「携帯性の良さ」の方が重要だったりします。
あのですね。
真面目な話、私はPDA大好き*1なのでしみじみ痛感しているのですが、やっぱり紙は偉大ですよ。デジタルデータが敵わない分野ってのはまだまだあります。電子書籍なんか紙書籍に全く太刀打ちできてないですよね。googleマップが凄いって言っても、紙の地図の方が便利だったってシチュエーションは普通にありますよ、いやまじで。
もちろん。
当該エントリが「紙はデジタルに劣る」と言ってるわけじゃないのは分かっていますが、そうであれば「あいつら今時アナログで仕事してやがるぜ、楽なお仕事だね」とはいささか安易では。
いいとこ取りしたいよね
ただ、人力物件検索っていうのは、どうしてもその人のヒューリスティックやバイアスが入るので、盲点ができたりします。
たとえば、当社管理で空室だらけの物件があったんですが、オーナーチェンジしてなかなかの物件に生まれ変わったんです。でも、当社営業よりも他社営業の方が決定件数が多かった。「あの物件は良くない」という固定観念があって意識|無意識的に紹介する事を避けてたんでしょうね*2。
そういう意味でも、デジタルの「冷たい検索」っていうのも侮れないというか取り入れないとヤバイとは思います。
両方のいいとこ取りできれば最高なんですが。
*3
構造ではったりかますのは効くかもね
別件ですが。
結局、手の届きにくいところ、不動産屋のキングファイルの中だけにある情報を掘り出すには、「知ったか」ブチかますしかありません。一応、建築を専門とする人間として、その知識と自分の経験(学生時代に2回、就職してから2回賃貸を探しました)から、最も有効な「知ったか」ポイントを挙げるとすれば、ダントツで「構造」もしくは「構造形式」です。RCとかSとか書いてある、あれですよ。
賃貸探しで不動産屋さんを攻めるたった一つのポイント - concretism
さすがにプロの建築屋さんですね。ナイスエントリ。私も含め不動産屋は建築は素人同然です*4。特に新人辺りだとALCが何なのか知らないのもいますから、動揺させるにはいいでしょうね。
ただ、↓これはどうかなー。
SRC>RC>>>(越えられない壁)>>>S造>(マンションとアパートの壁)>軽量鉄骨>木造
たぶん、これ防音性の観点からの格付けだと思いますが*5。
ほんとに「S造>(マンションとアパートの壁)>軽鉄>木造」かなあ。2×4のグレード高い奴って防音性能高いですよ。少なくとも重鉄とかALCに劣るってことはないなあ。選択肢からバッサリっていうのはもったいないかもなー。
また、RCとの間に(越えられない壁)があるのはまあ防音気密性については良いとして*6、この(越えられない壁)は半透過壁で、床のボードがすげー反響してうるさいとか、配管防音がダメで水音が響くとか、開口部から音が入るとか、そんな理由であっさり転落可能です。分譲賃貸でもそういうの普通にあります。
だからっつーこともないですが、「SRC・RC限定で」と来られると、「しょーもないRC引き受けてくれるんですね、わかります」みたいにひねくれたくなるのは私が性格が悪いからですか、そうですか。でも、スペックで物件条件指定されると、なんか気合抜けるんですよねー、やりがいがないというか、「HOMES行け」みたいな。まー、スペックがマッチすれば決まるんで、楽なお客様ではあるんですけどね。「なんかイヤ」という理由で却下するお客様とかの方が燃えるんですよねー、「よーし、お前の思考にシンクロしてやるぜ」みたいな。相性もあるけど。
つまり、↓ココ大事。
ただ、空気は読め。
不動産営業って他の追随を許さないぐらいDQN率高い職種なんだから、あんまり難しい事を言ってるとソッコー嫌われます。
また、Gelsyさんはプロだから問題ないでしょうけど、素人がこの手のはったりかますってことは、口八丁の不動産営業にコミュ能力で勝負してるってこと忘れないで下さいね*7。