↓に対して異論があったのでブクマしましたが、ちょっと考え直したのでエントリにします。
もっと言うなら、中国に工場を建てている日本企業で、中国の工場では入出場時に持ち物検査をしているところは多いと思いますが、これは差別か？ イタリア旅行に行く人に「すりが多いから貴重品はウエストポーチに入れて身に着けておいたほうがいいよ」と助言するのは差別か？ 社員を採用するのに大卒以上を条件とするのは差別か？ 私はこれらが悪質な差別とは思いませんが、差別的要素がゼロかというとそうではないと思います。
「差別・偏見は常に絶対悪」という考えも危険 - andalusiaの日記
これに対して、私のブクマがこちら↓
[異論アリ][これはひどくない][考え中]「イタリアはスリが多い」はデータで示せる。「そいつはイタリア人だからスリだ」はいくらデータを積み上げたところで差別だ。バランス感覚が大事というならば「これはNG」という線引も必要と思う。/いや、考え直す。
しかし、読み返してみると、データを積み上げない差別もヒューリスティックとして有効な場合があると仰っておられる。
そもそも、私たちは社会で生きていく中で、意思決定を早めるために推論（ヒューリスティック）を利用することが非常に多いです。学校での試験の問題みたいに決まった答えがあるわけではない問題に対して、ヒューリスティックな手段は有用で不可欠です。しかし、ヒューリスティックな手法は、そもそもバイアスと裏表です。偏見を全く持たずに生きていくことはできないし、もし仮にそんな人（ヒューリスティックな手法を放棄した人）がいたとしたら、無知で無能でクズ。アホでバカ。低脳でワーキングプアだと私は思います。
となると、私のブクマコメは全く的外れだったわけです。
さらに、私も同じようなエントリを書いた事がありました、忘れていましたが。で、「その人の属性の市場価値が市場にて差別されることは仕方がないが、市場価値が人間の価値を決めることは決してない」というような結びにしていました。いや、ほんと忘れていた（ｗ
ヒューリスティックを有効に使うには
さて、「イタリア人を見たらスリと思え」ヒューリスティックが有効である条件とは、どういうものでしょうか。
とすると、g-l(1-p)>0、であれば「イタリア人を見たらスリと思え」ヒューリスティックが有効です。
つまり、ヒューリスティックをより有効に運用する為には、以下のようにするべきです。
- 何も考えずに運用すること（gを高める）
- 誤謬による損失が高い判断には用いないこと（lを抑える）
- 例外が少ない事象の判断に用いること（pを1に近づける）
これは現実には、以下のようにするべきです。
- 何も考えないこと
- 反撃されない場所から使うこと（誤謬による損失を抑える）
- みんなが言っていることに乗っかること（たぶん例外が少ないであろう事象）
つまり、おおむねネットイナゴ的な行動が最適でしょう。
被差別側はどう反撃すべきか
ところで、被差別側はそのヒューリスティックを使用されると、不利益を被ります。ある程度のコストを支払ってでも、ヒューリスティックを使用させないように行動するのが最適です。
前述のように、g-l(1-p)>0、がヒューリスティックが有効である条件ですから、g-l(1-p)<0にすれば差別側が差別する理由がなくなります。
つまり、差別を解消する為には以下のようにするべきです。
現実には以下のようにすると良いでしょう。
- 差別側に論争を仕掛ける
- 場合によっては訴訟などを起こす（誤謬リスクを上げる）
- 被差別側に有利な統計データなどを示す
また、本来的には「そのヒューリスティックが自分に不利益があるかどうか」を精査すべきです。
しかし、差別側はヒューリスティックを使って経済的に差別をしてきます。これに対抗をする為には被差別側もヒューリスティックを使用すべきでしょう。具体的には「差別っぽいものを見たら、とりあえず噛み付く」べきです。
また、被差別側は少数派である事が多いです。数で対抗する為に他の被差別グループと連帯を取るべきです。つまり、「一見して自分に関係が無いと分かる差別っぽいものにも、とりあえず噛み付く」と良いでしょう。
色々述べてまいりましたが、厳密にはゲーム理論を用いて最適行動を発見していく必要があるでしょう。ひょっとしたら、何らかの均衡状態も発見できるのかもしれません。
できれば、このエントリがばっさり否定されると良いのですが。
差別側も被差別側も醜すぎます*1。
*1:でも、それが人間なのかも
