不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

確かに『究極』のお掃除動線

究極のお掃除動線といえば、動線に重複がない「回遊型プラン」といって良いでしょう。回遊型プランの例をあげます(【図3】参照)。

2/3 究極のお掃除動線をつくる間取りの見分け方 [マンション物件選びのポイント] All About


 回遊型プランがお掃除しやすく開放的なのは間違っていません。


 でもでも。
↓究極のお掃除動線プラン例として挙がっている、この間取。
 いくらなんでも、つっこみ待ちですよね(w



 玄関からキッチン・寝室・洗面バスが丸見えなところとか、個人的には結構気になるんですが、そういう細かいところは置いておきましょう。

友達を呼べない間取

 この間取だと和室で食事をする他ないですよねえ。そうすると、洋室をリビング的に使うことになりそう。来客があったときはこちらに通すことになるわけです。
 えーと、これ、どこを通ってもらうんです?
 キッチン*1を経由して、ダイニング代わりの和室*2を経由する、生活感あふれるルートでしょうか?
 それとも、ベッドルームを経由する、プライベート大公開ルートでしょうか?

生活動線を破壊する間取

「友達いないから大丈夫」
「別に隠すものないから大丈夫」
 そういう方もいらっしゃるでしょう。
 なるほど、そうかも知れません。
 しかし、せっかくのプライベートを犠牲にした『究極お掃除動線』ですが、その他の生活動線は大変なことになっています。
 お洗濯を想像して下さい。
 洗濯をするのは当然、洗面ですね。そこから、ベランダに干しに行くわけですが、やはりここでもその経路が問題です。洗濯カゴを抱えているので、スペースが狭く通りづらいキッチンは避けたいです。必然的に、ベッドルームを通過して行くことになります。
 洗濯以外の場面でも同じことです。リビング→トイレ・バスや、玄関→リビングといった日常発生する動線において、ベッドルームが廊下になります。生活時間がずれている同居人がいる場合、これはなかなか落ち着きません。
 小さな子どもがいればさらに大変でしょう。狭いI型キッチンを「廊下化」して走り抜けられるのを防ぐ為に、子供用扉をつけるのは必須です。いよいよ動線が不自由になります。

日当たり風通しも??

光や風通しも良く、お掃除面だけでなく、住みやすさ、家族とのつながり、限られた面積を無駄にしていないという点でも優れています。

 えーと、ベッドルームに窓がないですよね?
 このプランでも角部屋ならば窓がつけられますが、中部屋の場合、暗い部屋で目覚めなければいけませんね。引き戸を開けておいて光を入れても良いですが、そうするとリビングとベッドルームが一体化してしまいます。それなら大きめの1LDKプランの方がお掃除も楽ですよ。
 また、バストイレがあるため、玄関側に窓がつけにくいです。全体的な通風採光も特に良いわけではありません。

回遊型プランは廊下を排除しない。

 結局、廊下を無くそうとしたことに無理があったんです。もちろん、廊下のない間取は可能なのですが、開口部が少ないマンションだと苦しいです。
 同規模廊下アリでの回遊型プランだと、こんな感じです。



 すみません、ペイントで速攻書いたので汚いです(w
 でも、概略はわかって頂けるかと思います。
「なんだ、普通の間取じゃん」と思われた方、その通りです。特にお掃除動線に『究極』を目指す必要はないのです。あまりに一つの事に究め極めすぎると、他の部分にしわ寄せが来ます。


 住まいはバランスが大事、という当たり前のお話でした。

*1:システムキッチン奥行650とすると、1m強の幅しかないです

*2:キッチンが狭いので、食器棚はこちらに並んでいます