不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

200億円の国有地が民間に時効取得されている件


国有地37万平方m、200億円を時効取得で無償譲渡 : ニュース : ホームガイド : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20070104hg01.htm

 国有地を一定期間占有してきた個人や法人に、国がその土地を無償で譲り渡す時効取得制度で、2003年度以降、06年11月末までの3年8か月間に計37万平方メートルが民有地に変更されていたことが、読売新聞の情報公開請求などで明らかになった。
 財務省の推計価格は計107億円だが、譲渡後の実勢価格は200億円を超えるとみられる。


 これはすごい。
 時効取得というのは大雑把に言うと、他人の物を自分の物として20年間以上占有し続けると、それが他人の物だと知っていて占有していても、自分の物にできるという民法の規定です*1


所有権の取得時効
http://www.houko.com/00/01/M29/089.HTM#162


 つまり、まあ、本当は国の土地だったのだけど、その上に誰か家建てちゃったとか耕作始めちゃったとかして、20年以上国からノークレームだったということです。

 兵庫県姫路市では、建設会社が04〜05年、農家などから私有地計約1600平方メートルを売買や土地交換で入手。あぜ道などとして使われていた周辺の国有地約1400平方メートル(推計価格約3500万円)の占有を引き継ぎ、06年2月に時効取得した。同9月、計約3000平方メートルを不動産会社に一括転売した。


 ↑このケースなんかは、間違いなく狙ってますよね。
 恐らく、↓こんな感じで占有されていた国有地があって、


  A所有地

                            • -

あぜ道(国有地

                            • -

  B所有地


 これに目をつけた建設会社が、A・Bまとめて買い上げて占有を承継したんでしょうね。
 で、時効取得後おいしく転売したと。
 ここで、キモなのは相続や売買で占有者が変わっても、時効はリセットされないということ。相続の時はまあアレとしても、売買の場合は悪意の場合は時効を0に戻すべきだと個人的には思うけどな。


 これがあぜ道が私有地であれば、地主が目を光らせてますからそう簡単に行かない場合もありますが、国有地だと現状を確認しに来るのは資産税の部署ぐらいでしょうから、見過ごされていたんでしょうね。






 みなさんも、自宅に隣接して誰も通行しないような国有地があったら、毎年すこしづつ境界をずらしていくと自分の子供の代に時効取得できるかもしれませんよ。一度確認してみては*2

*1:期間当初に善意無過失なら10年

*2:冗談ですよ?