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不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

処女じゃないからって結婚無効にしちゃイカンだろ

雑談

 
「嘘ついたんだから当たり前だろ」と言ってる人がいますが、「本当に考えてから言ってんの?」と言いたくなります。
 

 裁判所に婚姻無効を申し立てていたのは技師の30代男性。訴えによると2006年7月の結婚前、婚約者の女性は貞節を断言していたが、新婚初夜の明け方にうそをついていたことを告白した。「侮辱された」と怒った新郎の父親が女性を実家に送り返し、男性も別れることを決断した。

 判決は、この男性にとって女性の処女性が結婚の決定的条件だったとして、女性のうそは民法で婚姻無効を求める要件「配偶者としての重要な資質に問題がある場合」にあたると判断した。男性側代理人は「判決は極めて論理的」としている。

 これに対し、女性の人権担当閣外相は声明を発表し、「判決にがくぜんとした。民法の規定が解釈によって女性の地位を後退させた」と厳しく批判。与野党双方からも「判決は宗教の古くさい原理主義を支持した」(国民運動連合議員)、「女性が男性同様、自分で性行動や生き方を決める権利を踏みにじった」(社会党議員)と非難の声が上がっている。

http://news.goo.ne.jp/article/nishinippon/world/20080531_evn_004-nnp.html

 
 まあ、痛ニューは編集がアレですからアレとしても、ブクマでもそういった意見が散見されました。でも、私は支持しません。
 以下論拠。
 
 
 これは嘘をついたということも大事なのですが、「新婦が処女であるかどうか」が重要な要因である、ということを司法が認めたということです。
 そもそも、結婚には双方の合意が必要なのは当然なので、その判断を錯誤させるような重要な虚偽告知があった場合は無効にする、というのは自然な考えです。
 ちなみに日本の場合は、無効ではなく取り消しになります。

(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)
第747条 詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

http://www.houko.com/00/01/M31/009.HTM#s4.2

 
 何を婚姻の重要な要素とするかは、原則、当事者間で決定すべきものでしょうから、「新婦が処女であるかどうか」が重要な要因ということに当事者間で争いがなければ(新婦が「そんな大事なこととは思ってなかった」とか言わない限り)、裁判所の判決は妥当と言えなくもないわけです。
 言えなくもない、と歯切れ悪く言ったのは、その判決は良くないかも、と思うからです。
 
 この裁判が日本で起こった場合、どうなるでしょう。

(公序良俗)
第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

民法

 上記のように、公序良俗に反するような法行為は無効ですから、「新婦が処女なら結婚する」というのは、おそらく、日本人同士では取消が認められないのではないでしょうか。
 しかし、これが国内のイスラム教徒同士の場合となると、ちょっと微妙です。

任意規定と異なる慣習)
第92条 法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。

 上記の通り、認められる可能性がありそうです。
 実際の話、様々な文化が交じり合った国家では個々の慣習を重んじる必要があるでしょうから、こういう法律も必要なのは間違いないです。
 
 必要なのは間違いないですが、無制限に認められるものではないと考えます。
 
 たとえば、「○○出身の人間とは結婚しない慣習」というようなものは、いかにも認めるべきではないように私には思えます。もし、「出身地を偽った事を原因とする婚姻の取消」を認める判決が出たとして、「差別を助長する判決だ」という抗議が上がることには、少なくとも「嘘ついたんだから当たり前だろ」という単純なつっこみはできないのではないでしょうか。
 
 「新婦が処女なら結婚する」が認められて、その逆が認められない*1のであれば、その慣習は「男尊女卑」と言ってよいでしょう。歴史がある慣習であれば「男尊女卑を文化として認める」判決をした、と解釈されても仕方がないのではありませんか。
 フランスがどのような国を目指しているのか分かりませんが、少なくとも、私は日本で同じ判決が出ても支持しません。

*1:イスラム社会に「童貞限定条件」の婚姻慣習があるならばお知らせ下さい