生活保護ネタです。
このお宅は、20数室の賃貸マンションを経営しておられ、大阪ですから、うち3軒に、生活保護受給者が入居しておられます。
片山さつき Official Blog : 18人に一人が生活保護を受けている大阪市で正月早々、今日聞いた本当の話。
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ところが、1年ちょっとしたばかりなのに、そのうち一軒が、家賃を滞納しはじめ、何ヶ月催促しても全く払わなくなった、、。
奥さんはしっかり者ですので、区役所に乗り込みましたが、窓口では「そんなこといくらでもありますから」とのらりくらりで話にならない。
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そこで、やっと日をあらためて、借主たる生活保護受給者と、区役所と、大家さんたる彼女、の3者会談が行われ、何度も話し合った末に、
「これからは毎月1日に生活保護費が払われたら、区役所の担当者がついていって、いの一番に家賃を振り込む。」
ということになって、その後は本当に実施されているそうです。
はてブを見るとこのやり方に批判もあるようですが、私はこれは推進するべきだと思います。
それはなぜか。
家賃には権利金が含まれる
たとえば、食料品を買うなどの取引であれば、お金さえあれば買うことができます。しかし、賃貸契約をするには目の前の現金だけでは足りません。なぜでしょうか。
それは、住宅を賃貸契約をすることによって賃借権が発生するのですが、その権利の対価を大家は長い時間をかけて回収する必要があるからです。数ヶ月程度貸した程度では大家業は利益を得ることができません。
つまり、大家は「ある程度長い間家賃を支払ってくれるだろう」という信用をして賃貸契約を結ぶ、ということです。ですから、たとえ契約金全額があっても収入のない生活保護受給者はその信用を得られず、契約ができないということになります。
ですから、生活保護受給者が賃貸住宅でスムーズに生活するためには、「既得の賃借権」か「信用の給付」が必要になります。考えられる方法としては、「家賃のクーポン化」「役所から大家への家賃分直接給付」「役所が賃貸住宅をサブリース」などがあります。一番お手軽なのは直接給付なのではないかと思います。
私も、原則として生活保護給付の使い道を指定するのは極力避けるべきだと思います。しかし、「信用の給付」が必要であるなら、そこは原則にこだわって住宅難民を作るよりよい手段があるのではないでしょうか。