先日の日記で、自己資金が少ないのに新築住宅を買うのはリスクが高い、と書きました。
で、花村さんを応援する意味も込めて、なぜリスクが高いのか書きます。
以下、詳しく。
例として、年収600万円の家族が、自己資金を諸費用で使い切って、4000万円の新築住宅を全額ローンを組んだとしましょう*1。これはあまり余裕のある設定ではありません。支払の月額は約16.9万円。
で、一年後に事情があって売却しなければならなかったとします。
果たして、いくらで売れるでしょうか、考えてみて下さい。
だいたい、3000〜3300万円ぐらいで売れるでしょうか? 売却時諸費用を考えると手取り3000万円と少し、で妥当かと思います。
しかし、これは正解ではありません。
そのときの住宅ローンの残高が3900万円と少しあるからです。差し引き900万円の借金です。
借金で終われば良いのですが、実際には900万円の自己資金がない限り、銀行は抵当権を外しません*2。ですから、「いくらで売れるでしょう?」の答えは「売れません」が正解。
一番の問題は、資産の流動性が失われることなのです。「損を覚悟で家を売って借金を背負ってでも生活の立て直し」が出来るのであればそれ程のリスクではないのですが、退路を絶たれた状態になってしまう場合があるのです。
このリスクをあまり重要に見て取らない方が多い原因の一つに、住宅ローンの代位弁済の統計がないことが挙げられると思います。実感として1%を下回っているのは間違いないような気がしてたのですが、消費者金融の団信の自殺が想像を上回っていたので、どうかな、などとも思っています。
「住宅ローン利用者、1%は失敗して自己破産」なんて統計が出れば、「家賃がもったいない」なんてのんきな事を言ってはいられなくなると思います。
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10/27追記
分譲か賃貸か「俯瞰で見る」-住まいの心理学(retour&kagewari)
http://blog.smatch.jp/kagewari/archive/54
↑分譲マンションのリスクに対しての考察、参考になる内容です。
つまり「高いって資産価値を担保しているのも銀行、高額の融資をして高いリスク商品を購入させているのも銀行」需要と供給の両方のプレーヤーになっているので、全体として市場が歪んでしまう。
これは、なるほどと思った。マンションの需給のバランスが崩れてるのに価格が崩れないのは、そういうことか。