不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

「表紙じゃなくてお前らがキモいんだよわかれよ」

togetter.com
↑これについて。
id:ohnosakiko さんがこのようなツイートをしていたので、


↓このように反応してみました。


 
 で、書き足りないのでブログで書き足します。
 
 まず、ツイートにも書いたことですが、「お前らキモいわ」というのは憎悪表現であって、差別につながるものである、ということ。
 当然、「オタクコミュニティがキモい」というのも十分に憎悪表現である、と言えます。
 現実として「オタクキモい」は許容される傾向にあります。しかし一方、「ホモセクシャルキモい」などという表現は、私的な場ではまだまだ見られると思いますが、公の場でははばかられる状況です。
 同じ憎悪表現なのに、どこに差異があるのでしょうか。
 
 これには、ホモセクシャルが実際に差別されてきたという歴史背景があると思います。実際に差別がある状況で、その対象について憎悪表現をすることは差別を煽りやすい、ということかと思います。
 もちろん、オタクコミュニティも全く差別されてこなかったわけではないのですが、現状として憎悪表現が差別につながる度合いを比較すると、オタクとホモセクシャルとでは差があると感じる人は多いかと思います。
 ツイートにも「牛や豚は食っても絶滅しないが、鯨を好き放題食ったら絶滅するだろ」と書いたとおりかと思います。「お前の受けてる差別なんて他と比べたら大したことないよ」みたいなことを言うのは気が引けるのですが、「オタクは叩いてもたぶん死なないが、ホモセクシャルは叩くと死ぬかもしれない」ということですね。
 
 一方で、ラノベのエロ表紙問題については別の側面もあり、エロ表現を公の場でするのは女性に対する抑圧になる、というものです。
 この論が正しいかどうかの評価は避けますが、仮に正しいとした場合、エロ表紙を批判することによって女性差別が緩和される、ということもありえるのかもしれません。
ラノベの表紙がキモい」=「ラノベ読者コミュニティはキモい」と表現すると女性差別が減る、という筋立てですね。
 この論が正しいかどうかの評価は避けますが、仮に正しいとした場合、

  1. オタクコミュニティに憎悪表現を向けることにより煽られた差別
  2. それにより減る女性差別

 をトレードしても、社会的には(または個人的に)プラスになる、という判断がありえるかもしれません。
 言うまでもなく、これはそれぞれのコミュニティに対する評価によって判断が分かれるところです。件のシュナムル氏は後者を大きく評価する人であった、ということが言えると思います。
 
 ところで、また別の視点もあるかと思います。
 それは、効用最大化です。
 先ほどの例のとおり、オタクに憎悪表現を向けることによって女性差別が減り社会的にプラスになるとして、しかし、それが最善なのか、ということです。
 キモいと叩いてオタク憎悪を煽らなくても、女性に対する差別を減らす別の表現があるのであれば、そちらを用いた方がいいに決まっています。
「わかるけど、それ、キモいって言う必要あったの?」という批判が、特に叩かれている側からあるのは当然かと思います。
 
 ただ、これは反差別の方々からは「トーンポリシング」として批判されているやり方です。
note.mu
yuhka-uno.hatenablog.com
「実際に差別を受けている人たちに、社会に対する効用・効率を求めるのは酷」という主張は説得力のあるものです。状況に応じて、分断を避けるために注意が必要でしょう。
 
 
 
 そういうわけで、「表紙じゃなくてお前らがキモいんだよわかれよ」という言説に対し、これは危ういなあ、と思うわけです。
 たぶん、id:ohnosakiko さんは憎悪表現ではなく時代感覚の問題として「キモい」を用い、なおかつ憎悪表現ととられかねないこともわかっててツイートしたのだと思います。
 ただ、リツイートした人たちは、どうかな。