日本の格差はアメリカの格差と構造が違う。
日本の格差は「貧困層と中間層の格差」なんだ。だから、アメリカでの格差是正は、0.1%の超富裕層に重税をかけて、それを、残り99.9%に再配分するということになる。
日本での格差是正は、中間層に重税をかけて、それを貧困層に再分配するということになる。つまり、クルーグマンが「格差は経済成長に悪影響がある」と書くときに念頭においている「格差」と、現在の日本の格差は、だいぶ中身が違う。
日本の景気回復には格差是正が必要か? - 分裂勘違い君劇場の別館
id:fromdusktildawnさんの言うことは分かるし、クルーグマンの言いたいことが「再分配と経済成長はトレードオフの関係にない」ということ、「オバマケアが経済の足を引っ張ることはない」ということだというのはその通りで、日本のことなんて触れていないのはたしか。
そして、アメリカと日本の格差と構造の違いについてもたしかだろうし、日本では再分配強化が中間層の消費を抑えてしまう、というストーリーも十分説得力はある。
しかし、クルーグマンが引用しているIMFレポートのデータソースはアメリカだけではなく日本を含む各国のものを用いている。その統計的分析で「ジニ係数が1ポイント増加すると経済成長が次の年に終わるリスクが6%増加する」と出ているのであるから、これに対して「日本は特殊だから当てはまらない」と批判するのであるなら、アメリカと日本を比較するだけでは足らないと思う。*1
たとえて言うなら、「インフルエンザワクチンを接種すると重症化率が半分になる」という人種横断的な統計データに対して、「日本人はアメリカ人より寒さに弱いからこれは当てはまらない」と反論するようなものに近い。
「日本は特殊だから」を示す責任がどちらにあるのかを考えると、ふろむださんのストーリーは説得力があるものの、議論のボールはふろむださんにあると思われる。
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