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不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

クロ現で叩かれたサブリースの話をしときますか

今、新たに建てられるアパートなどの数は年間30万戸以上。
3年連続で増加しています。 その多くを占めているのが、大家が建てた物件を業者が一括借り上げする「サブリース」という形式のアパートです。
業者から長期間家賃収入を保証すると持ちかけられ、建築する人が相次いでいるのです。

 
 うーん。ダウト、と言いたくなりました。
 ちょっとこの辺の話を思うままに書いていこうと思います。
 

本当にサブリースが悪いのか

サブリースが悪いというより政治が悪いのでは

 記事ではサブリースが戦犯扱いになっていました。
 たしかに、借り上げによる家賃保証は決め手のひとつになると思います。
 しかし、それよりも大きな要因を見逃してないですか? 農家の地主がアパートを建てる気になるために、背中を押す要因は以下のものもあると思います。

  1. 未利用農地または将来的に利用予定のない農地がある
  2. 農業の跡継ぎがいない
  3. 相続税の節税ができる
  4. 調整区域の農地だが、アパートを建築できる条例がある

 1,2あたりの解決を政府に望むのは酷かもしれませんが、3については直近で増税がありましたから大きな影響があったはずですし、4に関しては例に挙がっている羽生市なんかもう自業自得というか完全に自治体の失策でしょう。
 その辺の事情をさらっと流してサブリースを悪者にすることにちょっと違和感があります。
 

成功例もあるはず

 アパート経営は事業です。事業ですから失敗例もあれば成功例もあるはずです。
 これが「投資した人たちが全て資産を奪われた」みたいな豊田商事のような話なら問題ですが、これ、そういう話ではないですよね?
 結局のところ、強引なアパート営業が誤認させるような説明をしたことが問題であってですね、サブリース契約の問題ではないんですよ。
 たとえば「株を買いませんか? 絶対損はさせませんから」と営業をかけるのはよくないでしょう。でもだからと言って、株式投資が悪というわけではないですよね?
 

サブリース方式に関する考察

判例があります

 話は変わります。

しかし、保証するとしていた家賃収入は、10年を経過したあとは2年ごとに改定するとなっていたのです。

アパート建築が止まらない - NHK クローズアップ現代

 これについてなんですが、実はあまり意味がないかもしれません。
 借地借家法には賃料増減額請求権というものがあり、更新の時期などに関係なく賃料減額請求ができます。しかも、これは強行規定ですので特約で禁止をしても無効となってしまいます。サブリース方式の借り上げ家賃も借地借家法の定めを受けるかどうかは分かれていたのですが、平成15年に最高裁判例ができました。

①本件契約は、建物の賃貸借契約であることが明らかであり、借地借家法32条の規定が適用されるものというべきである。
②本件契約には自動増額特約が存するが、借地借家法32条1項の規定は強行規定であるので、本件契約の当事者は、自動増額特約が存するとしても、そのことにより直ちに借地借家法32条1項に基づく賃料増減額請求権の行使が妨げられるものではない。

不動産適正取引推進機構 紛争事例データベース

 ごく大雑把に言うと、契約で「賃料の増減は一切しない」という条項があったとしても、無効になる可能性があるということです。
 

衡平の見地

 とはいえ、無条件に減額請求が通るわけではないようです。

減額請求の当否や相当賃料額を判断する場合には、衡平の見地に照らして、これらの特約の存在は、重要な事項として十分考慮されるべきであるとしている。

不動産適正取引推進機構 紛争事例データベース

サブリース裁判を巡る最高裁判決(04年11月8日付)において滝井繁男裁判官は補足意見として、家賃減額は「当初予想収支」を損なわない程度と呈示した。すなわち賃貸人の当初予想していた利益が確保できる程度の賃料額まで保護するものとなっている点は、特筆すべきものがある

ADRに係わる論説、コラム・調停事例 - 日本不動産仲裁機構 不動産ADR(裁判外紛争解決手続)センター

 つまり、サブリース業者としても「赤字になっちゃいましたから借り上げ賃料下げてください」がやすやすと通るわけではなく、「当初と経済状況や周辺環境に大きな変動があった」などの一定の根拠があって初めて当初収支予定を越える賃料減額請求ができると考えたほうがいいです。
 ですから、「賃料減額ができるからサブリースリスクヘッジにならない」という見解は極端すぎますし、現場でやってる人に言わせれば「そんな簡単に下げられるなら苦労しないけどね」という感じでしょうね。
 

定期借家があります

 ところで、定期借家契約というものがあります。この定めの中に、

第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。

借地借家法第38条 - Wikibooks

 というものがあり、賃料増減額請求権が強行規定ではなくなっています。つまり、特約で賃料を固定することができます。
 
 
 

サブリース”会社の社員 「ぼくらの会社だって一部上場企業として全国でやっている以上、入居が入らないとか、建物が例えば古くなったから、そういう理由での家賃の変動というのも存在しません。」
 
勧誘された人 「アパート過剰供給になって入らないんじゃないかと私は思うので、えらい心配なんですよ。 よって家賃収入も減額されるんじゃないかって心配なんですよ。」
 
サブリース”会社の社員 「私の話聞いてました? 家賃は約束通り入ります。 その辺の不動産屋と一緒にされては困るんです。」

アパート建築が止まらない - NHK クローズアップ現代

 こういう営業をされたら、「ではマスターリースを30年の定期借家にしてください。解約条項は削除しましょう。もちろん公正証書で契約しましょうね」と返してみてください。本当に減額されないなら問題ないはずですからね。