不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

永江さんとYahooと善意を期待される仕事の話

 
たとえばなんですが。
 
あなたがコンビニに行ったら、レジの人が超美人さんorイケメンさんだったとします。
そんで、その店員さんがお会計中に「急に暑くなりましたよねー」みたいに笑顔で声をかけてきました。せっかくなので、あなたはなけなしのコミュ力を注ぎ込んでトークをし、短時間ですがいい感じの世間話ができたとします。
さて、会計を終えてコンビニの前でツイッターかなんかに「コンビニ店員が超絶美人だった件」とかなんとかつぶやいていると、さっきの超美人の店員さんが私服姿で出てきました。
「お疲れ様です、お仕事終わりですか?」みたいな感じであなたが店員さんに声をかけました。
店員さんはあなたが誰だか分からなさそうでしたが、すぐに「ああ」という顔になってこう言ったんです。
「ああ、さっきの。あの話、しょーもなかったですね」
あなたはカッとなって言い返しました。
「客に対してその言い方はないでしょう」
「いや、客って言われても、もう仕事上がりましたから、あくまで個人の見解です。実にしょーもないですね」
「ああそうですか。じゃあもうこんな店には来ないですよ」
「へー、繊細な人ですね」
 
 
 
てなことが Yahoo!Japan であったみたいです。

Yahoo!Japanに投稿した内容にYahoo!Japanの人から「実にしょーもない」というコメントをいただきましたので、これ以上続けていてもしかたないでしょう。

ソーシャルは難しい。わたしはこれでYahoo!個人に投稿するのをやめることにしました(永江一石) - 個人 - Yahoo!ニュース

ブコメでは「個人と所属組織は違うよ」という意見が多いみたいですね。私もわりと賛成です。
ただ、さきほどのコンビニのたとえ話となると、そうでもない人が増えるんじゃないでしょうか。
 
こんな話もあります。

草野は「関東地区に台風が近づいている日のこと」として当時を振り返った。ある夜、帰宅が遅くなったために家族と食事しようといつも行ってる店に電話をし、「今日、こういう状況ですけどもやってますか」と確認した。店側が「大丈夫。やってます」というので出かけ、小一時間ほどで食事を済ませ、帰宅した。
 
(中略)
 
番組ではその時のツイッターを再現。「このすごい中、草野仁 来たんだけどどう思う?マジあいつ馬鹿なの?超空気、読めねえじゃん!おかげさまで、あたしはピークん中、帰宅中なんだけど!あのじじい恨む!」との内容だった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140504-00000075-dal-ent

これ、「個人と所属組織は違うよ」と言い切れる人はどれぐらいいますかね?
 
 
 
また、たとえばなんですが。
ある政策についてパブリックコメントを募集して、あるコメントに対して政治家が
「しょーもない話ですね」
と言ったら炎上間違いないですよね。
まあ、政治家っていうのは人格で仕事をする職業ですからある意味仕方がないです、しかし、これ、管轄官庁の役人がオフでツイートしたらどうなりますかね。やっぱり「個人と所属組織は違うよ」と言い切れる人は少ないんじゃないですか?
 
こんなこともありましたよね。

水野参事官は自らのツイッターで「国家公務員」を名乗り、市民団体が開いた集会に参加した後、「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席」などとツイートしていた。

http://www.asahi.com/national/update/0613/TKY201306130044.html

 
 
 
基本的に言うとですね。
政治家さんとかお役人さんとか、あと接客業の人たち、そしてたぶん医療介護分野の人たち。これらの方々については、オフであろうと顧客に対して暴言を吐いてはいけない、そこは「個人と所属組織は違うよ」とは言えない、という考えが多いのではないでしょうか。
 
たとえば、介護スタッフが「例のじいさんの孫が来てすげえうるせえ。そんなとこじいさんに似なくていいのに」とか。
たとえば、TDLのキャストが「なんか今日のゲストが「だっぺだっぺ」うるせえなあと思ったら茨城県民の日だった件」とか。
ちょっとイラッときません?
 
なぜなんでしょう。
個人的な考え方なんですが、政治家・役人・接客業の人たちには「善意」を期待してるからではないでしょうか。
日本の接客レベルは高い、とよく言われます。私もそう思います。丁寧な接客の内心に「善意」を期待してしまうのは無理もありません。
すべての政策を理解して投票をするのは難しいです。ある程度は政治家を信頼して委任をするしかありません。そこに「善意」を期待してしまうのは当然でしょう。
お医者さんが患者のあなたを本気で殺そうと思ったら、回避するのは難しいです。「善意」を信じなければ治療を任せるのも難しいでしょう。
 
 
 
しかしですね。
接客業の経験から言わせていただきますけど、丁寧な接客の内心には「善意」が必ずあるなんて、ファンタジーですからね? 俺たちが内心であなたたちをどう思ってようと勝手でしょう? それをオフに吐き出したっていいでしょう、仕事を離れてるんだから。違います?
 
 
 
というか、政治家って感情労働をしてるんですね。これを書いてて初めて気がつきました。