不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

一種いくら?

 
 yahoo知恵袋で、間違った答えがベストアンサーになってたので、エントリを書きます。
 

不動産でいう「一種」単価の計算が分かりません。

ネットとこの知恵袋内でも調べましたが理解できませんでした。。トホホ。

500坪で4億円(商業地域、容積400%)の土地が売りに出ていたとします。
4億円÷500坪=坪80万

それから一種いくら、と出すにはどう計算したらよいのでしょうか?

不動産でいう「一種」単価の計算が分かりません。ネットとこの知恵袋内でも調... - Yahoo!知恵袋

 これに対してのベストアンサーがこちら。

平米の事を言っておられるのではないでしょうか?

 
 ちげーよww
 もうひとつの回答も「坪単価のことだ」とか言ってるし、いかにこの手のサイトの回答が当てにならないか分かろうというものです。
 正解は、容積率100%当たりの単価なので、坪80万ということは、80÷4で一種20万です。
 
 じゃあ、何で容積率当たりの単価で取引されるのかというと、分譲マンションとかの収益で地価が左右されるからなんです。容積率は土地に対して建てられる建築物の規模の制限(容積率400%=延べ床面積の上限が土地面積の400%)なので、収益が容積率に比例するのです。
 簡単に計算してみましょう。

  • 土地500坪
  • 分譲マンション(建築原価坪60万円)を建築すると、坪単価260万円(100㎡の部屋で8000万クラス)で売れる立地。

 以上の条件で計算すると、容積率400%の場合

粗利益
500 × 400%【容積率】× 260【分譲単価】 - 500 × 400%【容積率】 × 60【建築単価】 = 400000万円

土地1坪当たりの粗利益
400000 ÷ 500 = 800万円

 容積率200%の場合

粗利益
500 × 200%【容積率】× 260【分譲単価】 - 500 × 400%【容積率】 × 60【建築単価】 = 200000万円

土地1坪当たりの粗利益
200000 ÷ 500 = 400万円

 となり、容積率が半分になると土地の坪当たりの収益が半分になっているのが分かると思います。
 もちろん、実際には販売コストとか色々乗ってきますのでこんな単純な話ではないのですが、例えばデベの仕入担当の人なんかは自社の原価を計算に入れてて「一種が分譲単価の35%ぐらいなら、まな板に乗るな」みたいな感覚で土地を探していたみたいです*1
 
 ただ、こういう「一種いくら」は分譲マンションとかオフィスビルとかが建つ立地でのみ通用するもので、一戸建メインの郊外ならむしろ容積率は低い方がいいです*2。だから、田舎だと「一種いくら」は不動産屋でもあまり使わなくて、東京とかで不動産やってる人には信じられない話かもしれないですが、数年営業やってる奴に「一種って何?」とか聞かれてのけぞった事があります。
 自分の営業エリアの主要駅前辺りだと、ミニバブル期には一種20万前半で取引されてましたが、今はもう「一種いくら?」と聞かれるどころか、デベの人を見かけなくなってしまったっつー悲しい現実もあります。そういうわけで、正直、私もあまり馴染みがない単価なのでいろいろ間違ってるかもしれないです。でも、間違ってたらid:r2factryさんがフォロー記事を書いてくれるでしょう、これぞWEB2.0

*1:思わず過去形にしてしまった

*2:隣地に高い建物が建ちづらい