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不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

「gumiという錬金術に群がった人々」は本当か

 
gumiという錬金術に群がった人々と、日本のスタートアップ業界の暗部【1】
という記事がありまして、要は「gumiって会社が上場基準満たすのに力を使い果たして3ヶ月で業績下方修正しやがった。投資家なめてんのか」という内容なんですが。
その部分はいいんですけど、上場前第三者割当について「利益抜きやがってクソが」みたいな記述があって、おやー?みたいに思ってまして。

私は単なる個人投資家なので上場に関わる実務のことは全くわからないが、普通、上場準備や上場審査にはそれなりの期間が必要だと思われるため、半年前のタイミングはまだしも、LINEが増資に応じた3ヶ月前の時点ではほぼIPOすることが見えていたのではないかと言う疑念が残る。一般的にベンチャー投資はリスクが高く、投資回収も長くなると言われているが、仮にIPOという出口がほとんど確実に見えていたとしたら、これほど美味しい投資はない。勝つことを事前に知らされている馬の馬券を買うようなものだからだ。

gumiという錬金術に群がった人々と、日本のスタートアップ業界の暗部【1】

↑みなさん、ここの部分を読んでどう思いますか?
LINEが濡れ手で粟で大儲け、と読みませんでしたか?
これはちょっとおかしい気がするので誰か解説してくれるのを待ってましたが、誰も書かないようなので、私が間違いだらけの記事を書いてつっこみ待ちをすることにしました。
 
内容は以下の通りです。

  • 上場前には株を増やさないといけない
  • 上場前の第三者割当は継続所有しなければいけない

 

上場前には株を増やさないといけない

これは当たり前だと思うんですけど、株を市場で流通させるには誰かが売らなきゃならないですよね?
で、売られる株式がたとえば数千万円程度ではお話にならないですよね? そんな額の調達はグリーンシートでやってろって話です。
詳しくはこちらをご覧ください。
日本取引所グループウェブサイト
東証一部への直接上場基準は時価総額250億円以上、ということらしいです。
 
会社が基準を満たすだけの十分な株式を所有してればいいのですが、そうでない場合は増資をして株式を増やす必要があります。
株式を増やすためには誰かが増資を引き受けなければならないです。創業者が会社に対して数十億の増資ができるなら問題ないのですが、スタートアップ企業の創業者がそんな大富豪であることはまずないので、証券会社やVCや取引銀行・企業に増資に応じてもらう必要があります。*1

先述した通り、gumiは2014年12月18日にIPOし、その公開価格は3300円だった。ところが、上場に際して提出される目論見書を見てみると、IPOの3ヶ月前の9月24日にLINEが1362円で、半年前の6月と7月にはVCのWiL、ジャフコ、B Dashベンチャーズ、新生企業投資、三菱UFJキャピタル、DBJキャピタルらに加え、グリーとセガネットワークス、gunosyの前代表であった木村新司氏が1214円で増資に応じており、その総額は83.2億円にものぼる。

gumiという錬金術に群がった人々と、日本のスタートアップ業界の暗部【1】

↑これはそれなんじゃないかなあ、と思った次第です。
 

上場前の第三者割当は継続所有しなければいけない

gumiの目論見書がこれなんですが。
http://gu3.co.jp/ir/library/files/gumi_m50118683.pdf
69ページを見ますと、たしかにLINEに第三者割当がされています。
しかし、5ページ目の「引受人の買取引受による売出し」には入っていないのです。
もう1度、増田の記事を引用しますね。

普通、上場準備や上場審査にはそれなりの期間が必要だと思われるため、半年前のタイミングはまだしも、LINEが増資に応じた3ヶ月前の時点ではほぼIPOすることが見えていたのではないかと言う疑念が残る。一般的にベンチャー投資はリスクが高く、投資回収も長くなると言われているが、仮にIPOという出口がほとんど確実に見えていたとしたら、これほど美味しい投資はない。勝つことを事前に知らされている馬の馬券を買うようなものだからだ。
それに加えて、IPO前とIPO時では3倍近くの価格差がついていた。時価総額が10億円の超小型株ならいざしらず、わずか数ヶ月という短期間の間に企業価値が340億円から945億円に急増する合理的な理由がこの世に存在するのだろうか。既存株主は上場に際して1036万株、総額342億円の売出を行っている。この大規模な「利食い売り」は、主幹事の野村證券によって全国の個人投資家に売り捌かれ、既存株主は莫大な利益を手に入れた。

gumiという錬金術に群がった人々と、日本のスタートアップ業界の暗部【1】

この「1036万株、総額342億円の売出」にLINE所有株は含まれていないんです。でも、読んだ人はそうは思わないんじゃないでしょうか。LINEが上場3ヶ月前に株を買って上場時に売って利益を抜いた、そう読んだ人も少なくないのでは?
 
「引き受けがなくても売却はできるだろう」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。
上場の際には大株主が売却を自主規制することがあります。これをロックアップと言いますが、その状況はどうでしょうか。
11ページを見ますと、『ジャフコ・スーパーV3共有投資事業有限責任組合、グリー株式会社、DBJキャピタル投資事業有限責任組合三菱UFJキャピタル3号投資事業有限責任組合、NIFSMBC-V2006S3投資事業有限責任組合、株式会社アットムービー、山田進太郎及び株式会社コーエーテクモホールディングス』が3月17日までのロックアップ*2となっていますが、たしかにLINEはその中に含まれていません。
 
しかしですね。
東証の「有価証券上場規程施行規則」によりますと、こうなってます。

第3款 上場前の第三者割当等による募集株式の割当て等
(第三者割当等による募集株式の割当てに関する規制)
第255条
新規上場申請者が、新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前より後において、第三者割当等による募集株式の割当てを行っている場合(上場前の公募等による場合を除く。)には、当該新規上場申請者は、割当てを受けた者との間で、書面により次の各号に掲げる事項について確約を行うものとする。
 (1) 割当てを受けた者は、割当てを受けた株式(以下この条、次条及び第260条において「割当株式」という。)を、原則として、割当てを受けた日から上場日以後6か月間を経過する日(当該日において割当株式に係る払込期日又は払込期間の最終日以後1年間を経過していない場合には、割当株式に係る払込期日又は払込期間の最終日以後1年間を経過する日)まで所有すること。この場合において、割当株式について株式分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て又は他の種類の株式若しくは新株予約権への転換が行われたときには、当該株式分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て又は他の種類の株式若しくは新株予約権への転換により取得した株式又は新株予約権(以下この款において「割当株式に係る取得株式等」という。)についても同日まで所有すること。

http://tse-gr.info/rule/tosho_regu_201305070041001.html#regu20141201411rsiodl_l_s1253_element

つまり、LINEは所有株を上場後6ヶ月、つまり6月ごろまで売却できないはずなんです。
 
 
 
 
増田の文章を読む限り、結構詳しい人のようなので、私ごときの不動産屋が知ってることなんて先刻承知だと思います。私が根本的な勘違いをしている可能性は大いにあります。
以上、詳しい方からのつっこみをお待ちしております。マジで。
 
 
 

*1:ちなみにこれをさっさと売り払われると安定株主が減って経営に影響が出たりしますので、資本政策において増資をどこに引き受けてもらうかというのは重要になります

*2:そういうわけなので、この記事を書いた時点でこの人たちはまだ売却できないはずです