こんにちは。最近、世代間格差論を見かけると、自分がどっちに属するのか分からなくてコウモリな気分になるLhankor_Mhyです。
さて。
id:TM2501さんがこういう記事を書いています。
年代別個人金融資産残高比率…つまり、「どの世代がしこたまカネを貯めてるか」というグラフだ。
あたりまえだが、若者は少なく老人がいっぱい持ってる。何しろ若者は働いた時間が短く、若い人は自分にもモノにも投資しないといけない。だから、貯金などない。
ただし、差が大きすぎる!日本の資産の6割を60代以上、8割を50代以上がもってる!
世代間格差がいかに若者のやる気を奪ってるかを語る - かくいう私も青二才でね
なるほど。
しかし、少子化社会では高齢者の人口比率が高くなるので、少なくとも人口比率の分は当然に資産比率も高くなるはずです。
人口推計で確かめたところ、50代以上は総人口の約2割でしたので、「2割の人が8割の資産を持っている」と表現するといかにもな感じです。
しかしこの比率から未成年を外すと、50代以上人口は55%を占めることになり、「5割5分の人が8割の資産を持っている」という微妙な表現になってきました。この中には学生などの非勤労者も含まれてますし、年齢差を考えるとそんなもんじゃ、という気分になってきます。
もうちょっと詳しく検討してみましょう。
パクリ元を見てみよう
「パクリ元ってなに?」と思った方。その年代別個人金融資産残高比率の円グラフをよく見てみましょう。右下に直立の猫さんがいますね? この猫さんがいるのは「ガベージニュース」さんの図表です。統計を読み解くブログで、分かりやすいグラフがたくさんあるため、ネットでよくパクられてます。*1今回のパクリ元記事はこちらです。
【転送】年齢階層別の金融資産保有割合をグラフ化してみる - ガベージニュース
青二才さんの事だから悪意はなくて迂闊なだけだったんだろうと思うんですが、あとできちんとお詫びしておくんですよ?
えー。
それはそれとして、元記事見ましたか? そこに年齢別「1世帯当たり」金融資産残高がありますね。それによると、20代以下は255万円*2、70代以上は2426万円となっています。*3
50年間でだいたい10倍ですね。年利でいくと約4.6%となりますので、平均的な人がその利回りで運用できるなら、高齢者の資産の現在価値が若年層の資産と等しいということになりますから、世代間格差は全くないと言っていいでしょう。
しかし現実には、この利回りを50年続けるのはちょっと難しいでしょうから、積み立てが必要でしょう。
年利回り1%で運用する事を目標とした場合、おおよそ年間32万円の積み立てをする必要があります。月にすると2.7万円は、かなりきつい。
各年代別にもう少し見てみましょう。利回り1%で運用し次の世代への格差を乗り越えようとした時に必要となる積立金年額は、以下のような感じです。
20代以下 | >39万円 |
---|---|
30代 | >44万円 |
40代 | >51万円 |
50代 | >66万円 |
60代 | >-30万円 |
70代以上 |
デフレの影響込みでも正直ちょっとキツイっつーか、この数字ほんとかよ俺そんなに持ってねーぞ、という感想を持ちました。グダグダで申し訳ないですが結論はありません。
本当は、過去のデータを追ってみて、この世代間格差が構造的なものなのかどうか、つまり時系列の影響を受けず平均的な労働者なら乗り越え可能なものなのかどうか、ということを検討してみたかったのですが、統計を見に行ったらネットでは前世紀のデータがない上に、時系列が接続していないようでした。うーん。
参考
上の2グラフから(特に2番目のグラフを見て)「世帯主が高齢層の世帯はみな、ますますお金持ちになっていく」「若年層がさらに年々圧迫を受けている」と誤解をする人がいる。しかしこの結果は、2002年以降時間の経過と共に個々の高齢者世帯が富んでいくことは意味しない。
世帯主の年齢別貯蓄総額分布をグラフ化してみる(2014年)(最新) - ガベージニュース
*1:池田信夫さんが全く同じグラフで同じことやらかしてます。http://togetter.com/li/433291
*2:単位が明記されてないですが「万円」でしょうね
*3:元記事にも書いてありますが、世帯あたりと1人当たりは単純に比べられない気がします