増田にこんな記事が。
★子供が未就学のうちは、そりゃ徳島県神山町とか、隠岐の島海士町に移り住むのもいいでしょう。
子育ての為のド田舎移住は、10年後・15年後に後悔する
子供は「伸び伸び」育つでしょう。
でも、「伸び伸び教育」なんて言っていられるのは、せいぜい小学校まで。
そういう人って、子供が高校とか大学に上がった時を想像して、それでも「神山町・海士町がいい」のか?
まとめると、
- 育児目的の地方移住希望があるらしい
- でも、あまりに田舎だと高校生以降は教育環境に苦労するだろう
- 政府主導で地方移住を進めるなら現実を教えてあげた方がいいのでは
というご意見です。
これに私がこうブコメしましたところ、
Lhankor_Mhy - 『子育ての為のド田舎移住は、10年後・15年後に後悔…』 へのコメント
- [ネタ]
- [都市]
総務省の『都市から地方への移住・交流の促進に関する調査』のことなら、若年層の移住志向は「子育て」じゃなくて「仕事やりがい探求派」という調査結果なんだが、ちゃんと読んだの/ え、これ、itarumurayamaさんなの?
2014/11/01 09:14 にブックマーク
ツイッターにて以下のようにご説明をいただきました。
@lhankor_mhy 自分が見たのは内閣府が9月頃に発表した調査です。女性30代の移住理由の上位理由が「子育て」だったと記憶しています。
— 新宿次郎 (@shinjukujiro) 2014, 11月 1
そこでご提示いただいた資料を読んだところ、なかなか興味深いモノがありましたので、本題から外れることは重々承知なのですが、記事にします。
地方移住志向のきっかけは子育てだが、子育て環境を重視しているわけではない
資料を見ますと、10〜30代の女性は地方移住志向のきっかけとして「結婚」「子育て」が1位2位を占めていますが、男性は「就職」「転職」でした。
しかし、きっかけは別々でも「移住をしたい理由」は男女ともだいたい同じで、「出身地だから」「家族・知人など親しい人がいるから」が上位でした。特に女性の場合は過半数が「出身地だから」を選んでいます。つまり、「東京で消耗したから高知に行くよ!」というIターンは少数派で、Uターン希望が多数派ということです。
また移住希望理由として「子育てがしやすい環境だから」が9.2%なのに対して、不安懸念点として「教育環境」を挙げている回答が7.2%もあるようです。
別の内閣府調査を引用します。
地方に移住してもよいと「思う」,「どちらかといえば思う」と答えた者(190人)に,どのような条件があれば地方に移住してもよいと思うか聞いたところ,「教育,医療・福祉などの利便性が高いこと」を挙げた者の割合が51.1%
人口,経済社会等の日本の将来像に関する世論調査 2 調査結果の概要 4 - 内閣府
こちらでも過半数の人が、「教育環境がいいところなら地方移住を考えてもいいけど」と考えているようです。
以上のことから、子育てをきっかけに地方移住を考える人はいるが、別に「子育てのために田舎に行きたい」と思っているわけではなさそうです。
じゃあ、なんのために移住を検討するのか、と想像してみると、タイトルの通り「地縁血縁」を求めているのだと思います。なぜ「地縁血縁」を求めたくなるのか、という点ですが、たぶん不安なんだろうと思います。「いざというとき頼れる人が欲しい」という思考がよぎるきっかけが、男性は「転職」で女性は「子育て」ということなのではないか、と思いました。
田舎の同調圧力問題
しかし、一方でやまもといちろうさんなんかがこんなこと言ってるわけです。
地方の自治体消滅関連でベースになるアンケートとかそぞろ手をつけていたんですけど、上がってきたデータで一際目を引いたのは「雇用などで将来を悲観した若者が、地元を捨て都市部で就職する」パターンが減少。その代わり、地元や地域に高齢者が増えて濃厚な人間関係を築かなければならなくなったり、親戚の介護などで疲弊した人が逃れるように地元を捨てるケースが増えているように思われるわけですね。
田舎から若い人がいなくなるのは「経済問題」だけでなく「人間関係の閉塞感」だそうで: やまもといちろうBLOG(ブログ)
自力で多様性を生産できる中核地方都市はもちろんとして、中小の地方都市なんかでもイオンモールとかがハブになって多様性の供給を受けたりできるんですが、どうしても一定の流動性と人口がないと魅力が生まれないというか、閉塞感がありますよね。
これと、前掲の「地縁血縁」を求める地方移住志向を組み合わせて考えると、世の中には3種類の人がいるってことになります。
- 「地元」と呼べる帰れる場所がない人
- 「地元」は地方都市で、「地縁血縁」を頼ることができる人
- 「地元」は田舎の集落で、「地縁血縁」を頼ることイコール田舎に縛られること、になってしまう人
そんなの当たり前じゃん、と言われると困ってしまうのですが。