ホームインスペクターの草分け、さくら事務所の長嶋さんがtwitterでこんなことを*1。
デンマークでは、住宅ローン金利が1%上昇すると住宅価格が8%低下、2%上昇なら16%の低下が観測されているとのこと。金利が上昇すれば住宅価格が下がるのは日本も同じですが、その具体的な観測はされていません。
長嶋修 不動産コンサルタント on Twitter: "デンマークでは、住宅ローン金利が1%上昇すると住宅価格が8%低下、2%上昇なら16%の低下が観測されているとのこと。金利が上昇すれば住宅価格が下がるのは日本も同じですが、その具体的な観測はされていません。"
この内容にびっくりしてしまったので、エントリにします。
金利が上がると住宅価格は下がる
「金利が上がると住宅価格は下がる」ということは、一応不動産屋ですので知っていました。
その理由は、長嶋さんが
金利が上がると、毎月1同じ支払をするとした場合、、借入可能額が下がってしまいますからね。
長嶋修 不動産コンサルタント on Twitter: "金利が上がると、毎月1同じ支払をするとした場合、、借入可能額が下がってしまいますからね。 RT @takaikenji 金利が上がる=インフレのイメージと反対ですね。RT @nagashimaosamu デンマークでは、住宅ローン金利が1%上昇すると住宅価格が8%低下"
と仰っているとおり、収入が一定であれば住宅に充てるお金も一定ですので、金利が上がると購入できる住宅の額が下がることによります。
では、私が何に驚いたのかというと、「金利が1%上昇すると住宅価格が8%低下」という、その数字です。
金利変動と連動しすぎ
借入可能額は、1回当たりの返済額をPMT、金利をi、返済回数をnとした時、
このように表せますから、金利変動による借入可能額の変動は、月々の返済額によらず一定ということになります。
以下は、20年ローンの金利変動による借入可能額の変動です。縦軸が変動前の金利、横軸が変動後の金利です。
2% | 3% | 4% | 5% | 6% | 7% | |
2% | 0.0% | -8.8% | -16.5% | -23.3% | -29.4% | -34.7% |
3% | 9.6% | 0.0% | -8.5% | -16.0% | -22.6% | -28.5% |
4% | 19.8% | 9.3% | 0.0% | -8.2% | -15.4% | -21.8% |
5% | 30.5% | 19.0% | 8.9% | 0.0% | -7.9% | -14.9% |
6% | 41.6% | 29.2% | 18.2% | 8.6% | 0.0% | -7.6% |
7% | 53.3% | 39.8% | 27.9% | 17.5% | 8.2% | 0.0% |
デンマークの住宅ローン金利がどの程度なのか知りませんが、おおよそ5,6%であろうと思います。5%→6%の欄を見ると7.9%の減少、です。つまり、金利変動から起こる借入可能額変動に住宅価格の減少がほぼ連動している形です。
これは、びっくりしました。理論上はそうであっても現実の市場というものは理屈どおりに動かず、いろいろなところに吸収されてたとえば4%程度の低下とかそのような数字になるのではないかと思っていたからです。
で。
翻って、もし日本でも同じようなことが起こっているならば、住宅ローンを現状の低金利で借り入れして不動産を購入した人が金利上昇局面に遭ったとすると、1%の金利上昇とは、総支払い額の上昇でフローに8%のダメージ、プラス、不動産価格の減少でストックに8%のダメージを受けるということです。金利上昇のリスクは理解していたつもりでしたが、自分が考えていたよりももっと大きなものなのかもしれません。
もちろんこの計算はおおざっぱすぎるので、たとえばデンマークの住宅ローンの借り入れ期間が平均10年程度だったりすると結果がだいぶ違ってきます。その辺のソースをお持ちの人、誰かいませんかね?