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不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

家賃滞納について思うところいろいろ

 
 twitterでこういう発言を見つけて、何をバカなことを、と煽り気味にRTしたところ。
 

T_akagi人間の生命などに著しく関係の深い業種は、それを守るために規制されるのが当然。住居を商いに利用するということは、そうした規制を含む商行為になることは必然。家賃を滞納されて困る程度なら賃貸住宅なんて営むべきではない。
lhankor_mhy医療費を滞納されて困る人は医者を開業してはいけません、とか? RT @T_akagi: 人間の生命などに著しく関係の深い業種は、それを守るために規制されるのが当然。 ... 家賃を滞納されて困る程度なら賃貸住宅なんて営むべきではない。
lhankor_mhy正直、めちゃめちゃ規制されてますけどね、現段階でも。これ以上の保護は国の役割かと。 RT @T_akagi: 人間の生命などに著しく関係の深い業種は、それを守るために規制されるのが当然。 ... 家賃を滞納されて困る程度なら賃貸住宅なんて営むべきではない。
lhankor_mhy大家さんはお前らのお母さんではない!
 赤木智弘さんでした。あーびっくりした、後から気づきました(w
 

ブラックリストは必要悪

 ただ、まあ、赤木さんのつぶやきの前提として、

T_akagiこういうコメントを書いている連中を、どうやってまともな筋道で物事を考えられるように再教育できるのだろう……:「家賃滞納者のブラックリスト化は弱者への入居差別につながる」 入居者の信用情報データベース化に市民団体反発 http://bit.ly/6tqHLy
 こういう事情があります。個人的にはブラックリストもやむなし」かと思いますが、そんなもの無い方がいいに決まっています。当然、程度の差はあれ、入居差別につながらないはずはないと思っています。「滞納したら追い出されるのは当たり前」とか安直に考える人たちは赤木さんに再教育されるべき。
 

弱者の保護は大家の仕事ではない

 しかし一方で、「滞納は困るので大家やめます」という人が続出すれば供給不足から賃料が上昇して逆に困りそうです*1
 また、職を失うなどして家がなくなってしまう人を救済するのは、民間の仕事ではなくて国の仕事だろうと思いますし、実際にそういう制度もあります。

非正規労働者等の解雇や期間満了による雇止め等に伴いそれまで入居していた社員寮からの退去を余儀なくされる方々に対して、住居と安定的な就労機会を確保できるよう支援する

厚生労働省:解雇等による住居喪失者に対する「就職安定資金融資」事業を開始します

離職者が利用可能な公的賃貸住宅情報をハローワークで提供すること及び地域住宅交付金を活用した民間賃貸住宅への家賃助成等の取組を推進する

報道発表資料:離職者の居住安定確保対策の強化について - 国土交通省

 で、こんな記事も。

 大門氏は、日産自動車の下請け会社で「派遣切り」され、同制度を利用した群馬県の男性の例を紹介。賃貸大手「レオパレス21」の「敷金・礼金なし」のアパートに6カ月契約で入居したものの、就職できずに退去させられ、150万円の借金を背負いました。
 大門氏は制度利用者の7割が常用雇用に就けていないと指摘し、「レオパレスは国から家賃を受け取り、半年後に追い出す。生活困窮者への融資を食い物にする貧困ビジネスといっても過言ではない」と批判しました。

賃貸大手 レオパレス21/失職者への融資“食い物”/大門議員が追及 - ライブドアニュース

 レオパレスを悪者扱いにしているのは、おかしいと思います。家賃融資制度があっても入居させる大家がいなければ意味がないんですよ? 職を失っている人をリスクを承知で入居させたら「貧困ビジネス」呼ばわりされるのでは、誰も入居させないのではないでしょうか? レオパレスは「貧困ビジネス」を避けるために入居を拒否すれば良かったのでしょうか? そうではないでしょう?
 記事を読むと自力救済をしたようですのでそこは問題でしょう。しかし、繰り返しますが、国が救済しきれなかった人を民間の大家さんが救済しなければいけない、という考えは根底から理屈がおかしいです。
 大家業がビジネスである以上、滞納による不足は他の入居者の賃料より補填するしかありません。当然、他の大家と競争になったときには、滞納のリスクがある入居者を差別する大家が生き残る結果になります。大家の滞納リスクを減らすというのは、健全な賃貸住宅市場を考える上で非常に大事なことです。「ブラックリストもやむなし」と私が考えるのはそういう理由からです。
 

それぞれの助成を連携した方がいい

 しかし、大家さんのリスクヘッジのために、職を失った人を寒空に放り出すのが良い方法とはいえません。そこで、このようなやり方はどうでしょうか。
 

失業者への家賃補助の継続

 前述の制度を臨時のものではなく、継続的なものにすると良いでしょう。現状の日本は雇用が継続的であることに頼りすぎています。滞納リスクが減れば入居審査もゆるくなりますブラックリストを使わなくても、非正規社員の住宅事情を改善することができるでしょう。
 とはいえ、家賃全額を国が援助してしまうと大家のモラルハザードが懸念されます。国が7割負担して残りの3割は大家がリスクを取る、ぐらいがちょうど良いのではないでしょうか。
 

滞納者を退去させる非訟制度

 以前も書きましたが、滞納リスクを減らすキモは「スピード」です。

問題なのは賃借権の「強さ」ではなく、法的解決のスピードなんです。ですから、賃借権を「弱める」ことは解決になりません。必要なのは、滞納による契約解除を速やかに解決するような非訟制度であると私は思います。

「弱い」賃借権は解決にならない - 不動産屋のラノベ読み

 非訟制度とは、裁判をせずに一定の手続きをすることによって紛争を解決する制度です。退去命令を出す要件をどのようにするか、という問題がありますが、失業者への家賃補助制度があれば「家賃補助を受けて6ヶ月が経過したこと」など、これをひとつのトリガーとすることができるでしょう。
 なぜならば、家賃補助を受けているということは、

  • 賃料などの契約条件に争いがない
  • 滞納の事実に争いがない

 ということを、大家・入居者・国の三者が認めていることになるからです。
 

生活保護・公的住宅へのスムーズな引継ぎ

 一方で、この非訟制度の退去命令を、生活保護や公的住宅への優先的な入居へのトリガーとすれば良いと思います。退去命令が出ているのですから、生活の本拠を失って困窮していることは間違いないだろうと思います。もちろん、この辺はいろいろ問題があると思いますが、どうも公的助成というのはそれぞれが勝手にやっているものが多くて、もっとそれぞれが連携して行えばいいのに、などと思ってしまいます。
 
 
 
 なんか、いつもの事ですが、まとまりのないエントリになりました。

*1:twitterだからこそこういうスキのある発言をされたのでしょうけれど