不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

まずは一報、大阪高裁より

 
 地裁判決をひっくり返しての、「更新料無効」判決です。詳細は不明の点が多いですが、まずは一報。
 

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法に違反し無効として、京都市の男性会社員がマンションの家主に、支払った5回分の更新料など55万5千円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。成田喜達裁判長(亀田廣美裁判官代読)は、原告側の返還請求を退けた1審京都地裁判決を変更、家主側に4回分の更新料など45万円の返還を命じた。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090827/trl0908271501002-n1.htm

 京都更新料裁判の判決要旨を見直してみる。 - 不動産屋のラノベ読み
 ↑で取り上げました裁判の控訴審判決ですね。いやー、衝撃ですね。
 何が衝撃かって、この部分です。

成田裁判長は判決理由で「更新料は単に契約更新時に支払われる金銭で、賃料の補充の性質を持っているとはいえない」と認定。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090827/trl0908271501002-n1.htm

 今までの説であった「賃料の補充の性質」を否定しました。これの何が衝撃かというと。
 

「京都は特別だから」とは言えないかも

 詳しくは、判決の要旨を読んでみないとアレですが。
 今年7月の判決では、借主に十分な周知がなかったことなどが問題となっていました。つまり、今までは更新料自体が違法という判決ではなかったのです。
 しかしこの度の判決は、「更新料は単に契約更新時に支払われる金銭」であるとしているようです。そうだとすれば、今までのように「京都はちょっとおかしい契約だから」と笑っているわけにはいけないわけです。今回は更新料自体が否定されているのかもしれないですから。
 この流れが加速してあちこちで更新料返還請求が起これば、体力のない個人不動産投資家や個人経営の不動産屋は廃業に追い込まれるかもしれません。ちょっと笑えないです。
 いずれにしろ、判決要旨を読んだらエントリを上げます。
 

またお上に決めてもらっちゃうの?

 話が微妙にずれますが、前にも言いましたが私は更新料廃止論者です。
 ただ、この判決は契約の自由を侵害しそうで、判決要旨を読まないとアレですがどうも賛成できないです。市場の形をお上に決めてもらって満足してていいのは江戸時代までだよね
 

定借シフト

 ところで、またまた話が飛びますが。
住居は定期借家でいいじゃない - 唸って踊れる千三つ屋
 ↑でr2factryさんも言ってました、「定借」へのシフトですが。
「更新そのものができないので2年後に解約」
 ↓
「引越し代その他で20万円ぐらいかかる!」
 ↓
「10万円で再契約しますよ?」
 みたいな感じで、実に自然に更新料相当額を請求されてしまいますね。拒否するとかえって損ですから、払うしかない。もちろん、再契約なので「更新料」ではないですね。
 

twitterすげえ

 話が全然飛びますが、この判決が今日あることは前から知ってましたので、第一報の今か今かと待っていました。で、それはtwitterからやってきました*1
 ニュースが飛び込んできた後、不動産クラスタの人たちと色々話ができました。「特約を付して、賃料の前払い金として更新料相当額に同意する契約にするか」とか「いや、もう更新料を用いないスキームで行く方がいい」とか「定借で行くというのもいいかも」とか色々と意見を交換できました。同じ不動産関連でこういう横のつながりができるというのは、実にtwitterはいいですね。
 
 
 
 なんか、とりとめなくなったので、この辺で。

*1:ほんとは管理業の協会からの速報メールの方が早かったようですが、メールじゃ気がつかないし