不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

実際のところ低金利ってどれ程おトクなんだろう

 
「低金利な今がマンションの買い時!」みたいな記事が増えてきました。
 

住宅ローン金利は低水準で、販売価格の低下傾向が続く今年は、「百年に一度の買い時」と言っていいでしょう。十分な購入資金が用意でき、今後も安定収入がある人にとって「今年こそ買いどき」です。

3人の専門家が宣言する! 2009年、今がベストな買い時の理由|オウチーノ

 じゃあ、実際のところ金利が1%上昇したらどれほど損をするものなのでしょうか。ちょっと計算してみました。
 

4000万円借りると1000万円違う

 借り入れ4000万円・金利3%・35年で借りたとすると約15.4万円/月の支払になります。これが4%になると約17.7万円です。
 その差額は約2.3万円。つまり、金利が1%上がってしまうと35年間トータルで約973万円、ほぼ1000万円違ってきます。これは大きい。
 

現在価値にするといくらか

 しかし、ちょっと待って下さい。この1000万円というのは35年かけて出る差額です。今日の1万円と35年後の1万円では全く価値が違います

現在価値(げんざいかち)とは、発生の時期を異にする貨幣価値を比較可能にするために、将来の価値を一定の割引率(discount rate)を使って現在時点まで割り戻した価値である。
例えば、割引率が年5パーセントのとき、1年後の1万円は、現在の 10000/1.05 = 9524 円に値する。これを「1年後の1万円の現在価値は9524円である」という。

現在価値 - Wikipedia

 では、この1000万円は現在価値にするといくらなんでしょうか。
 現在価値を計算するには割引率を設定する必要があります。で、割引率はリスク無でお金が増えていく利回りを採用する事が多いようです。国債の長期モノが1.3%ぐらいだったので、今回は2%を採用してみましょう。
 えーと、およそ709万円になりました。それでも大きいですね。
 

金利が上昇する時期はいつか

 しかし、ちょっと待って下さい。確かに今は低金利です。しかし、35年ローンのうちどこかで金利が上昇するにしても、来年から金利が上がり始める、というシナリオは実際のところはなさそうではありませんか?
 では、ここで10年目に金利が上昇するというシナリオを想定しましょう。今回の不況は100年に1度らしいので、前回のバブルと同じぐらいの回復期間を想定しても特に間違いではないでしょう。
 えーと、約477万円となりました。まだまだ大きいですね。
 

割引率は妥当か

 しかし、ちょっと待って下さい。さきほど割引率を2%としましたが、これは現在の経済状況を見ての想定です。しかし、金利上昇局面ということは当然経済も上向きでしょうから、割引率を高く想定しなければならないはずです。
 住宅ローン金利が1%上昇していますので、単純に割引率も1%上乗せして3%を想定してみましょう。
 えーと、はい、だいたい392万円と出ました。つまり、この想定ですと「低金利な今が買い時!」という売り文句は「1割引きするから買い時!」という売り文句とだいだい一緒ってことですね。この辺のおトク度ですと、人によっては*1住宅ローン控除の方がウエイト高いかもしれないです。
 

金利上昇時ロスの現在価値計算スクリプト

 今回の計算用スクリプトをなんとなく作ってみました。よろしければ、適当に数値を入れて適当に試してみて下さい。普通に住宅ローン計算スクリプトとしても使えます。ただ、なんとなく作ったものですので、なんとなく間違っているかもしれませんので、自己責任で!
 I owe, I owe, So off to work I go ♪: Home

*1:富裕層は、ってことですよ