読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

債権回収と滞納賃料

 
 うわー、こっぱずかしー。
 

賃貸住宅の家賃を滞納した際に違法な手段で退去を迫られたとして、大阪、兵庫両府県の入居者4人が5日、家賃保証会社や家主らに慰謝料など1人あたり約110万〜約140万円を求める訴訟を大阪簡裁に起こした。代理人の弁護士らは「低所得者を狙った『追い出し屋』の営業実態の違法性を追及したい」としている。

http://www.asahi.com/national/update/1205/OSK200812050042.html

 に対して、

宅建業法には触れなくとも、サービサー法の規制はあると思うんだが……

はてなブックマーク - asahi.com(朝日新聞社):「追い出し屋で被害」提訴 家賃滞納の入居者4人 - 社会

 と、ブコメつけて*1id:ululunさんに

id:Lhankor_Mhyさん ブコメの解説をkwsk!!

 と言われ、調子に乗ってこんな事を。

id:ululunさん、これの(5)とかです。http://tinyurl.com/62k67e

 はい今間違えた! 今知ったかぶりの俺死んだよ!
 
 そういうわけで、債権回収と滞納家賃について調べ直したので、せっかくだからまとめます。
 

サービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)には滞納賃料は適用されない

 サービサー法って、弁護士にしかできない業務を、一部債権回収業務に限り登録業者に許可しようという法律なんですが。
 そこら辺のグレーな回収屋はともかくとして、日本賃貸保証みたいな大手家賃保証会社は当然「債権管理回収業」の登録をしているものだと思っていました。
 でも

2  法律の内容
(1) 特定金銭債権の定義(取扱債権の範囲)
  「特定金銭債権」とは次に掲げるものをいう。(2条1項関係)
  <1>  金融機関等(金融機関の連合会,政府系機関,保険会社,貸金業者,政令で定めるものを含む。)の有する貸付債権
 
 (略)
 
  <22>  これらに類し又は密接に関連するものとして政令で定めるもの

法務省

 この中に賃料債権ないんですよね*2。だから、仮にサービサーの登録があっても賃料債権の回収は弁護士法の範囲になってしまう可能性があります。
 

賃貸管理業者の滞納賃料は弁護士法に抵触しない(たぶん)

 たとえば、何かモノを売ったとしてその代金を回収するのは債権回収業に当たらないです、これは当然ですね、自己の債権です。
 しかし、賃貸管理業者についてはオーナーが所持している賃料債権を回収しているわけです、しかも業として。これは弁護士法に触れるんじゃないかという疑問が出てきますね。

当初から、賃貸借契約書上も賃貸人の委託した賃貸管理会社に対する賃料支払義務を明記しているような場合には、賃貸管理会社により滞納賃料の請求は契約上の債権に該当しますので、訴訟外で請求することは勿論、訴訟上も契約上の債権として請求しうる場合もあることが認められます。

http://www.repros.jp/knowhow/knowhow_kamei/post_824.html

 こちらでは、管理会社に支払う契約になっていれば大丈夫、と判断しています。

形式的には,他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によってその権利の実行をすることを業とする行為であっても,上記の弊害が生ずるおそれがなく,社会的経済的に正当な業務の範囲内にあると認められる場合には,同法73条に違反するものではないと解するのが相当である。

債権譲受・回収と弁護士法及びサービサー法: お仕事&more

「社会的経済的に正当な業務の範囲内」というのが相当にあいまいですが、賃貸管理の業務内であると認められる場合は大丈夫、ということですね。
 

気をつけたほうが良さそうなケース

 マンションの管理委託を取った時点で既に発生している賃料債権に関しては、グレーという判断になると思います。
 というのは、「滞納家賃取立てしますよ、だから管理委託結んでください」という斡旋をすると、どっちが主なのか分からなくなるからです。滞納家賃取立て代行のために形式的に管理委託契約する事がありそうだからです。これは「社会的経済的に正当な業務の範囲内」から逸脱するのではないでしょうか。ですから、是々非々での判断になってしまうような気がします。
 

家賃保証会社ってどうなんだ

 家賃保証会社は明らかに債権回収を業として行ってるように見えるんですよね。それでも非弁行為とならないのは、何故なんでしょうね。まあ、たぶん回収行為等は弁護士の指導をもとに行っている、という扱いなんでしょう、なんか納得いかないですが。ただ、法律の規制がかかってしまうと保証料が上がってしまうかもしれないし、それは居住者・オーナーともに望むところではないでしょうね。
 ただ、法務省の(5)のようなガイドラインぐらいはあってもいいかも。 
 
 

余談、ところで追い出し屋記事について

支援団体によると、「追い出し屋」と呼ばれる業者の大半は、借り主の連帯保証を請け負う家賃保証会社に多いとされるが、家主や管理会社が直接、退去を迫る例もあるという。

http://www.asahi.com/national/update/1205/OSK200812050042.html

 いや、家主が退去を迫るのは全く問題ないだろう、賃料滞納を原因とする合意解約を求めることは違法でもないし公序良俗には反しないです。実力をもってすれば自力救済だけど、それはもはや「追い出し屋」でもなんでもなくて、ただの「地雷大家」。
 
 なんか、これ、二つの問題が混じってる気がします。

  1. 退去を求める手段は妥当なのか。督促費用の請求は妥当なのか。
  2. 家主以外が退去を求めるのは、弁護士法に違反しないか。

 
 1は、家賃保証会社が家主の代理を受けていれば鍵交換は自力救済だろうからNG、代理を受けていなければ当たり前に器物破損・住居侵入なのでもっとNG。
 2については微妙だけれど、前述の例を見ると管理会社が退去を求めることについては「社会的経済的に正当な業務の範囲内」な気が。でも、最終的にはオーナーが訴訟すべきかも。
 

追記20081207

 いしけり先生が雑感書いてらっしゃる。

明渡交渉は法律事務であり、弁護士資格のない家賃保証会社がオーナーから委託を受けて交渉をするのは弁護士法違反になるのが判例の建前。弁護士法違反は犯罪であり、明渡し合意をしても、後にクレームをつけられれば公序良俗に反するとして無効になります。

http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/56065571.html

 管理会社はどうなるのか、聞いてみたいなあ。でも、プロの人に質問するならお金払わなきゃかもなあ。一応、IDコールしてみる。教えて!b:id:isikeriasobi

*1:現在は消えているようだけど、「追い出し屋は借地借家法宅建業法の規制を受けない」とかいう記述があったはず。それでこういうブコメになったのだけど

*2:ただ、12番を見るとSPCの資産による果実は対象になりそう