それは、あなたの瑕疵担保責任の範囲です。
渡辺等裁判長は「取引当時は有害性が知られていなくても、その後、社会的に有害性が認知されて、規制されるようになったのだから、民法上の『隠れた欠陥』にあたる」とする初の司法判断を示し、公社の請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更して、同社に約4億5000万円の賠償を命じた。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20080926-OYT8T00123.htm?from=navr
どんな感じの経緯かと言うと
同公社は1991年、AGC社から足立区内の土地約3600平方メートルを約23億円で購入。2003年施行の土壌汚染対策法が高濃度のフッ素を有害物質として新たに規制したため、公社が05年に調査したところ、土壌に基準を超えるフッ素が含まれていたことが判明。公社はAGC社に汚染土壌の除去費用を請求した。
日本経済新聞
↓こんな感じ
1991年 | 足立区土地開発公社がAGC社から土地を購入 |
2003年 | 土壌汚染対策法が高濃度のフッ素を有害物質として新たに規制 |
2005年 | 土壌に基準を超えるフッ素が含まれていたことが判明 |
2008年 | 足立区土地開発公社「お前が金払え」 ← イマココ |
発見まで14年かかってるわけで、瑕疵担保期間どんだけ取ってたんだ、とも思うわけですが*1。
それよりも、何よりも。
この判決のキモは、売買があった時以後に「社会的に有害性が認知」されたようなものでも、瑕疵担保責任を問えるということですよ。
アスベストの害が知られる前に売買した鉄骨ビル、とかそうですね。あと、例えば、今日売買して、将来ロックウールとかが規制された場合、その除去費用を負担しなきゃいけないってことです。これは結構キツい。迂闊に瑕疵担保責任を長く負うわけにはいかないですね。
ここまで読んで「関係ねーや」と思ってた、あなた。
特にIT技術者の方。
請負契約にも瑕疵担保責任ありますよ?
*2
追記
弁護士の八尋先生がダイアリでこんな事を*3。
最高裁の平成13年11月27日判決
http://d.hatena.ne.jp/m-yahiro/20080926/1222401508
(民集55巻6号1311頁)は、
買主の売主に対する瑕疵担保による損害賠償請求権も
民法167条1項により、
買主が売買の目的物の引渡しを受けたときから
10年で時効消滅するとしました。
ですよね!
宅建業法の「自ら売主」制限違反で期間の定めを2年未満にしたときも「10年に延長」と聞いた事があったので、違和感があったんですよ。
これって、やっぱり「期間20年」とかいう特約があったとしか思えないです。
20130608追記
最高裁で、瑕疵には当たらないと請求棄却となったようです。
http://www.retio.or.jp/info/pdf/80/80-136.pdf