↓「貧困の意識が非論理的な行動を促進する」という考えのようですが。
米国の研究チームが、「自分が貧しいと感じている人ほど宝くじを買う傾向が強い」との調査結果を発表した、というニュース。
POLAR BEAR BLOG: 「自分にはチャンスがない」と思うことの怖さ
(略)
研究チームの言葉を信じるなら「主観的に貧しいと感じているかどうか」がカギのようです。
(略)
要は実情を考えずに「自分にはチャンスがない」「運に掛けるしかない」と思い込んでしまうと、非論理的な行動を取ってしまうリスクが高まる、ということをこの実験は示しているのではないかなと思います。
文脈からすると、宝くじ購入を「非論理的な行動」と考えてらっしゃるようですが、私はそうは思いません。
たぶん、期待値がマイナスだからそう思うのだと思うのですが、日本人の多くが行っている期待値マイナスの契約行為として「保険」が上げられます。宝くじが「非論理的な行動」であるなら、保険も「非論理的な行動」であるはずです。
で。
この「非論理的な行動」は効用逓減の法則で説明できるかと思います。
限界効用逓減の法則
投機的な目的を除けば、人が消費できる財の消費量には限度があるのが普通である。(最初の1杯のビールは美味いが、飲みすぎれば飲みたくなくなる。空腹時には1杯の白飯も美味いが、いずれ他のおかずも欲しくなるだろう。)
一般的に、財の消費量が増えるにつれて、財の追加消費分から得られる効用は次第に小さくなる。これを限界効用逓減の法則(げんかいこうよう ていげんのほうそく)、又はゴッセンの第1法則という。
限界効用 - Wikipedia
一言で言ってしまえば、「100億持っている人と、1万しか持っていない人では、1億円の価値が違う」ということです。
そうであれば、この実験結果は「人間は財産を100倍するようなチャンスには数学的期待値をマイナスすることを選択するが、財産を1%増やす程度のチャンスに対してはそのような選択をとらない」ということなのではないでしょうか。身もフタもない言い方をすれば「金持ちケンカせず」です。
注目したいのは、これはおそらく貧困意識に関わらず「全ての人間」に当てはまるであろう、ということです。(1/20で3,000円が当選するような300円の宝くじを、宝くじファンが買うかどうか想像してみて下さい)
つまり「貧困の意識が非論理的な行動を促進する」という現象はないと思います。