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不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

児童ポルノ単純所持禁止と麻薬単純所持禁止の違い

その他

 
 前回エントリのコメントで、id:ululunさんとid:noir_kさんに色々つっこみを受けましたので、それを受けての修正を加え、もう一回書きます。
 
 その前に確認しておきますが、私は「児童ポルノの取り締まりは強化すべき」という前提で考えています。ですので、例えば現在の状態でも十分に児童の保護はなされているなどのソースがある場合は、私が無駄な思考をこれ以上繰り返す前に、助けて頂ければうれしいです。
 
 さて。
 児童ポルノ単純所持禁止の妥協できる運用方法はあるかも、というお話なのですが。
 例えば、麻薬は単純所持が禁止されているわけですが、我々の権利を不当に制限しているという事態はそれ程深刻におこっていません。であるならば、麻薬単純所持禁止と児童ポルノ単純所持禁止の違いを検討する事が、現実の運用を考えることにつながります。
 
 主な違いは以下の3点でしょう。

  • 麻薬は禁止されている薬物を明確に定義できる
  • 麻薬単純所持禁止は社会的法益児童ポルノ単純所持禁止は個人的法益を目的としている
  • 麻薬は医療従事者などには取扱を許されている

 

麻薬は禁止されている薬物を明確に定義できる

(用語の定義)
第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  麻薬 別表第一に掲げる物をいう。
二  あへん あへん法 (昭和二十九年法律第七十一号)に規定するあへんをいう。
三  けしがら あへん法 に規定するけしがらをいう。
四  麻薬原料植物 別表第二に掲げる植物をいう。
五  家庭麻薬 別表第一第七十六号イに規定する物をいう。
六  向精神薬 別表第三に掲げる物をいう。
七  麻薬向精神薬原料 別表第四に掲げる物をいう。

麻薬及び向精神薬取締法

(定義)
第二条  この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
(略)
3  この法律において「児童ポルノ」とは、(略)次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一  児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律

 以上の通り、麻薬は化学的な検査によって誰にも明らかな形で分かるのに対して、児童ポルノはそうではありません。児童ポルノについては「被写体が18歳未満」であることと、その姿態が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であることが確定して、初めて児童ポルノとなります。ですから当然、見方によって児童ポルノか否かが変わってくる、という問題があります。
 もっとも、これは成人ポルノも同様で

(わいせつ物頒布等)
第175条 わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

刑法

と、児童ポルノよりもさらにあいまいな定義になっています。であるにも関わらずポルノの解釈について目立って問題が起きていないのは、ポルノ業界の自主規制によるものです。業界が司法とのやり取りと社会情勢とを鑑みながら、自ら線引きをしています。この方法のメリットは、ポルノを法によって規制しながらも、「ポルノとは何であるか」ということを司法が決定しない点です。文化や社会風俗がお上の指図を受けるのは良いことではありません
 

児童ポルノ単純所持禁止は個人的法益が目的

(目的)
第一条  この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ることを目的とする

麻薬及び向精神薬取締法

(目的)
第一条  この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律

 以上の通り、麻薬禁止は公共の福祉のためであり、児童ポルノ禁止は被写体となっている児童の保護のためなのです。
 ですから、二次元児童ポルノの場合は「保護すべき対象」が存在しない為、目的から外れるはずです。
 一方で、被害児童が存在する場合、法の目的から鑑みるに単純所持を規制するというのは理にかなっています。
 ちなみに、前述のわいせつ物頒布罪は、社会的法益(公序良俗に関する)を目的とされているらしいです。
 

麻薬は医療従事者などには取扱を許されている

 前述の通り、麻薬禁止は公共の福祉を目的としていますので、公共の福祉を増進するような取扱は妨げる必要はありません。
 児童ポルノ禁止は児童の保護を目的としていますので、取扱免許制は馴染まないでしょう。
 

私の提案

 以上より、以下の事を提案します。

  • 第2条第1項の定義を厳密に守る。被写体の年齢が特定できない場合、児童ポルノとみなさない
  • 上記定義により、二次元ポルノは児童ポルノとみなさない
  • 所持の概念については前エントリの通り、明確な所有意志の確認を必要とする
  • 児童映像の業界団体を作り、自主規制させる
  • 単純所持については第9条を適用しない

(児童の年齢の知情)
第九条  児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。

 
 
 
 以上の事がなされれば、単純所持禁止も受け入れられるのではないでしょうか。
 初めに確認したとおり、「児童ポルノからの児童の保護は十分でない」という認識です。そうであるならば、何らかの対策は必要です。もちろんそれが単純所持禁止である必要は全くないのですが、妥協できる施策があるかどうか、検討しない理由もないはずです。