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不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

道路財源と郊外型大規模店

不動産 その他

 
 郊外型大規模店は道路財源とセットで考えなきゃいけないという話です。
 以下、論拠。
 

 街はできるだけコンパクトに保ち、高齢化社会環境保全に対応して行こうという考え方は、すでにヨーロッパなどでは常識になっています。
 ところが日本では、商業施設のみならず、市役所など行政機関が嬉々として郊外に移転するなど、世界の趨勢に逆行する政策が平然と行われてきました。
 来るべき人口減少社会では、理屈的には郊外の開発は必要ありません。街は拡散すればするほど非効率になるし、環境に負荷がかかってしまう。今あるものを、有効活用あるいは再開発するだけで十分なのです。

郊外型大規模店は、地元の利益を吸い上げ、それを中央(東京)に持って行ってしまう - 株式日記と経済展望

 コンパクトシティ推進派の私としては概ね賛成の意見です。
 が、ブクマではそれほど好評を得られなかったようです。

fuktommy 政治 消費者の利益を最大化しようとすれば郊外型大規模店の規制はない方がいいよなあ。
khwarizmi 社会, 経済 キモイ.郊外型大型店が地元の利益を吸い上げてもなお地元商店街に圧勝するならば,商店街は地元住民の便益を不当に圧迫してきただけなんじゃないの?

はてなブックマーク - 郊外型大規模店は、地元の利益を吸い上げ、それを中央(東京)に持って行ってしまう - 株式日記と経済展望

 確かに、補助金などに甘えて消費者の利益を損なってきた商店街はあるでしょう。無策、と言われても仕方がないところもあります。
 しかし、それでも郊外型大規模店を制限すべき理由があります。
 

市街化調整区域とは

 都市計画、という言葉があります。都市計画法という法令もあります。都市の発展の姿を定める法令です。
 さて、なぜ、都市計画をするのでしょうか。
 例えば、勝手に大企業が大きな工場を建てて、その隣りに従業員用の大きな社宅団地を建てたとします。おかげで周辺に用地がなくなり、学校や病院・警察署・消防署などが作れなくなりました。道路も拡張しなかったので毎日大渋滞です。下水の整備もしていなかったので衛生や治水にも問題が出てきました。しかも、工場の隣りに住宅地があるので、騒音などで住環境も良いとは言えません。
 こういった無秩序な都市部の拡張を「スプロール化」と呼びますスプロール化の防止は都市計画の大きな目的のひとつです。
 
 都市計画のひとつに「市街化調整区域」という区域区分があります。これは、市街化を押さえるべき地域であり、原則として建築物を建てる事ができません
 

コンパクトシティとは

 都市計画の方法のひとつであり、都市部をできるだけ小さくしていくことを目標としています。
 メリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 都市部を小さくできるので、都市インフラの整備コストや維持コストを抑える事ができる。
  • 移動距離が短くなるので、バスなどの公共交通手段を整備でき、環境負荷を抑える事が出来る。
  • 農地や山林を確保しやすくなるので、環境負荷を減らしたり、食糧生産に好影響を与える事ができる。

 
 少子化社会においては人口が減っていくため、「一人当たりの都市インフラ維持コスト」が何もしなくても上昇していきます。これを解決する方法はいろいろ(我慢するとか)ありますが、「都市インフラにこれ以上投資しない」というのは有力な方法のひとつです。コンパクトシティの方法はその方向と合致します。
 
 ちなみに、夕張市は破綻は都市部をコンパクトに保つことに失敗したから、という分析もあるようです。
 

郊外型大規模店は市街化調整区域に建てられる

 全ての郊外型大規模店がそうではありませんが、市街化調整区域に建てられる事が多いです。特に地方においては顕著です。上記の通り、市街化調整区域は基本的に建築できない区域です。したがって、都市インフラも貧弱です。
 当たり前の話なのですが、郊外型大規模店をポンと建てておしまい、という単純な話ではないのです。

 ショッピングセンターの建設予定地は市街化調整区域に位置する。11月30日に施行した改正都市計画法では、床面積が1万m2を超える大規模集客施設の開発を認める基準を強化。市街化調整区域での大規模集客施設の開発を原則として不可能とした。そのため、イオンモールは同法の施行前までに開発許可を得て、出店を実現する考えだった。

 県がイオンモールによる開発を許可しなかった理由は、同社が申請した計画では都市計画法32条1項の規定を満たしていないと判断したからだ。同法では、開発許可を申請する際には事前に関係する公共施設の管理者の同意を要すると規定している。ショッピングセンターの開発地に直接つながる町道と県道には、別の県道や長崎市道が接続する。県はこうした開発地周辺の道路を含めた交通ネットワークに渋滞をもたらす恐れがあるとして、開発に同意していなかった。

開発許可手続きを巡り徹底対決、イオンモールVS長崎県|日経BP社 ケンプラッツ

 郊外型大規模店への来場者はほとんどが車でしょう。そのため十分な幅員の道路が必要となります。その他、水道・下水道などの新設も必要となるでしょう。また、郊外型大規模店ができてしまえば周辺で商売を始めることは相乗効果が狙えますので、結果として都市化は避けられなくなります。繰り返しになりますが、市街化調整区域の都市インフラは元々貧弱なのです。
 もし、市役所などに行かれる事があったら見て欲しいのですが、都市計画課あるいは建築課などに「都市計画図」が貼ってあると思います。郊外型大規模店の周りを見てみると、隣接するように「都市計画道路」が通っている事が多いはずです。ひょっとすると、そのショッピングモールがなければ全く必要がないような道路かもしれません。「これ、ショッピングモールからの働きかけで作ったんじゃないの?」というような事を思いたくなることもあるでしょう。もちろん、住民の税金と道路財源からの補助で作られたものですから、公共の福祉の為になるモノで間違っても私企業のためのモノであるはずなどないのですが。
 
 もう一回繰り返しますと、市街化調整区域というのは都市インフラが貧弱なのです。郊外型大規模店の出店とは、都市インフラへの大規模な投資を伴います。ですから、コンパクトシティとは相容れません。
 もっと言えば、「道路財源を減らすこと」と「郊外型大規模店の出店活性」を両方支持する態度は矛盾していると言って良いでしょう。我々のような政治経済の素人がヨタ話で話す分にはアレですが、政治家の先生が言えば馬鹿にされる類の言説でしょう。ガソリン税減税」を支持している人は「郊外型大規模店の出店禁止」か「増税」のどちらかを支持すべきです。
 
 
 
 以下、余談。
 

コンパクトシティ過激派

 不動産屋としてはビジネスチャンスが減るので美味しくないのですが、コンパクトシティ推進派の私は「郊外型大規模店の出店禁止」を支持します。
 というか、むしろ、コンパクトシティ過激派とでも言うべき考えですので、積極的に集落を潰していくべきだと思っています。2050年までに人口は2割減するらしいので、都市部も2割縮小するべきです。

そう。会社に解散があるように、街が解散したっていいのである。この時夕張市がそうしていたら、傷はずっと浅くて済んだのだ。しかし、市民が選んだのは、「炭坑を観光に」をスローガンにした中田であった。あまり上品なたとえではないが、とーちゃんに先立たれたかーちゃんが、よりによってヒモと再婚したようなものである。

(中略)

そして、全国には第二、第三の夕張市が日本全国に控えている。破綻した地方自治体をどうするか、というのは他人事ではないのである。喫緊に手法を確保しておく必要がある。しかし夕張市のやり方が正しかったかどうかがわかるには、少なくとも18年もかかるのである。

404 Blog Not Found:To Be or Not to Be - 書評 - 限界自治夕張検証

「現状の都市部を維持する」考え方もあるようですが、人口2割減ということは単純計算で「一人当たり都市インフラ維持コスト」が2割強増加するわけで、上の世代の介護で手一杯の少子化社会にそれだけの余力があるかどうか、私は悲観しています。