不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

新築マンション購入と賃貸(50年後の場合)


 『賃貸よりも、実は買ったほうがトク!』を批判してみる - 不動産屋のラノベ読みからの発展。
 購入後の50年間を計算してみます。元エントリよりも公平になるように条件を少し変えてあります。
 なお、これはあくまでモデルです。諸条件を変えると大きく結果は変わります。また、私の計算が間違っている可能性も大いにあります。ご指摘をお待ちしております。

購入した時の条件
  • 物件価格3300万円の新築マンション
  • 物件の評価は35年定率法(残存価値20%)で減価。
  • 3000万円を固定金利3.2%の35年元利均等払いで借入。月々の支払は118,850円。
  • 当初に頭金で300万円、諸費用で100万円を出費。
  • 管理費等は当初月額15,000円。15年目に見直しがあり以後月額25,000円。
  • 固都税は当初100,000円。35年定率法(残存価値60%)で減価。かなりテキトー。
  • 25年目・50年目にリフォーム。それぞれ、1,000,000円。
  • 団信と住宅ローン控除は計算外。
賃貸した時の条件
  • 賃料当初120,000円。10年目に95%に減額。以後5年ごとに90%、85%、80%、75%に減額。
  • 2年ごとに更新料1ヶ月分。
  • 6年ごとに転居。敷3礼2手数料1+引越し費用200,000円。
共通の条件
  • 貯金500万円からスタート(購入の場合は頭金と諸費用の手出しで残100万円)。
  • 40年目まで月15万円を住居費に充てる。残金は貯金して繰越。41年目以降は貯金から取り崩し。
  • 貯金は年複利0.5%で運用。
10年目
  • 【賃貸】貯金756万円
  • 【購入】貯金185万円、残債2448万円、物件価値2084万円。計179万円のマイナス

 【購入】は残債が多くマンションの売却が難しい状態。参考→マイホームにのぼせ上がった人に対する冷や水 - 不動産屋のラノベ読み

20年目
  • 【賃貸】貯金1077万円
  • 【購入】貯金177万円、残債1691万円、物件価値1316万円。計168万円のマイナス

 【購入】は管理費上昇の為、住居費が月額15万円を超えています。貯金の取り崩し状態。

30年目
  • 【賃貸】貯金1584万円
  • 【購入】貯金77万円、残債654万円、物件価値830万円。計253万円

 【購入】は物件価値が残債を上回りました。売り出すのも良いと思います。

40年目
  • 【賃貸】貯金2290万円
  • 【購入】貯金809万円、ローン完済、物件価値660万円。計1469万円

 65歳定年をイメージしています。残りの期間の住居費は貯金を取り崩します。
 【賃貸】は本当はもう少しグレードを落とした物件に引っ越すべきですが、試算の為にそのままです。
 【購入】はローン完済5年後です。物件価値も下げ止まり貯金も増えました。これからが巻き返しです。

50年目
  • 【賃貸】貯金1123万円
  • 【購入】貯金382万円、ローン完済、物件価値660万円。計1042万円

 【賃貸】は10年前に比べ、貯金が半額に。さらに10年後には使い果たす事が予想されます。その時の想定年齢85歳。
 【購入】はマンションがあるため、貯金の減りがゆっくりです。老後に向けてバリアフリーなリフォームをしましたが、それでも400万円弱あります。リフォーム詐欺に遭わなければ10年後まで貯金が残ります。その時の想定年齢85歳。

雑感
  • 貯金の運用利回りを0%にすると、【購入】が有利。(貯金枯渇時期が2年違う)
  • ローン金利を3.5%にすると、【賃貸】が有利。(貯金枯渇時期が6年違う)
  • 都心マンションなど物権価値の低下が緩やかな物件であれば(残存価値4割とか)、リバースモーゲージで100歳ぐらいまで行けるのかも。しかし、その頃築後75年。どーなんだろう。
まとめ

 お客様の為にライフプランを書くことがあるのですが。
 新築マンション購入のプランが賃貸のプランの上を行く事があまりないんですね。
 そういうコトもありまして、「持ち家はファイナンス的に不利」と考えるようになりました。
 ファイナンス的にオススメの持ち家は、土地付中古戸建をリフォーム、です。ライフプランの変化にも対応しやすいです。
 また、繰り返しになりますが、住まいというのは結構大事な要素です。お金の問題を無視してはもちろんいけませんが、お金のことだけを考えてはいけません。