不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

「色彩の暴力」から身を守る2つの方法


 ちょっと、こういう煽ったタイトル、一度つけてみたかったんです。
 内容は、もし、あなたの隣に楳図邸が建ったら、どうします? というお話。

申立書などによると、自宅は敷地約235平方メートルの2階建てで3月に着工。外壁を60センチ幅の赤と白の横じまで塗装し、屋上には巨大な「まことちゃん」の像を設置し、ファンに開放する施設もつくるとしている。住民側は「塗装だけでも差し止めたい」と訴えている。

痛いニュース(ノ∀`) : 「これは色彩の暴力だ!」 楳図氏の“赤白住宅”建築に、住民が待った - ライブドアブログ
住宅の価値は街並みが決める

 楳図先生の家の件、不動産屋としては「お気の毒」と住民の皆さんに申し上げたいです。あの近隣は売りづらいでしょう。
 住宅というのは単独で価値が決まるものではありません。街並みの影響は大変に大きいです。
 しかし、ブクマコメを見ると楳図先生擁護の意見が多いようです。
はてなブックマーク - 痛いニュース(ノ∀`):「これは色彩の暴力だ!」 楳図氏の“赤白住宅”建築に、住民が待った
 この辺の意見、なんというか属人的すぎるような気がして、ちょっと気持ちが悪いですね。例えば、建築計画しているのが創価学会だったりしたら、同じような擁護はもらえないんじゃないかな。

「色彩の暴力」の正当性

 さて、では、このクレームは正当でしょうか。
 私はそうは思いません。
 と、いうよりも、この手のクレームは嫌いです。
 この地域には景観などに制限がないようです。で、あるならば、基本的に何色の家を建ててもいい訳です。つまり、この地域は「どんな派手な建物が建ってもおかしくない」地域である事を前提に住んでいたはずです。とくに用途地域設定後に引っ越してきた方は*1

法律は「色彩の暴力」から守ってくれない

 ところで。
 楳図先生の家は、現実としてそれ程大きな影響はないかな、と個人的には思っています。あれより強烈な家というのは存在するでしょうし、これからも建つでしょう。
 つまり、法律に制限がない以上、あなたの街にとんでもない家が建つ可能性はあるわけです。


 想像してみて下さい。
 あなたの家の隣に、タージマハルと金閣寺を足して何も割らないような建物が建つ様子を。


 この楳図先生のケースから学ぶべきは、結構いい感じの派手な建物が隣に建っても、法律は何も保護してくれない*2ということです。

「色彩の暴力」から身を守る法

 じゃあ、どうするか。
 方法としては、二つあります。

  1. 建築協定を結ぶ
  2. 地区計画を働きかける。


 手軽に行うならば、建築協定でしょう。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/seido/kisei/kenchikukyotei.html
 地域の同意があれば、特に役所を動かす必要はありませんので、スピーディーに事が運びます。しかし、自治体が違反をチェックしない為、監視を住民自体が行わなければいけません。地域の意識の高さを維持しなければ実効は乏しいでしょう。


 制定後のことを考えると地区計画がいいでしょう。
地区計画等
 一度制定されれば自治体が監視してくれますので、楽です。違反建築物には建て直しの命令も出せます。しかし、自治体を動かさなければいけないので、制定までの道のりは大変です。


 いずれにしろ、本当に街並みに価値を見出しているのであれば、事が起こる前に動くべきです。誰かが建築計画を立ててから何だかんだ文句をつけるのは、少し違うと思います。吉祥寺の主婦お二人は気づくのが遅かったのです。

*1:これが一低だったりしたら話は別

*2:と、申し立て却下の前提で書いたが、通ったらどうしよう(w