不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

あなたが部屋探しに失敗する1つの理由(賃貸編)


 今回は、Q&A形式でご説明します。


Q. 「部屋探しに失敗する理由」は本当に1つだけなのか?
A. 細かい理由を挙げていくとキリがありませんが、定常的で構造的な理由は1つです*1


Q. その理由とは何か?
A. 担当した営業があなたをあまり気に入ってはいなかったコト、です。


Q. 不動産屋に気に入られるようにしろ、と言うのか?
A. それはオススメしません。人間関係には相性というモノがあり、無駄な努力に終わる場合があります。相性が合わないと感じたときは、担当を変えた方が早いです。


Q. 客の好き嫌いで、仕事を変えてはいけないのではないか?
A. 仰るとおりかと思います。しかし、賃貸契約を結ぶ時、お客様はあなただけではないことに留意すべきです。確かに、賃借人側のお客様はあなたなのですが、賃貸人側つまりオーナーも不動産屋のお客様なのです。


Q. しかし、借りる方は、言わば消費者だ。企業姿勢として消費者側に向いていくことは大切なのではないか?
A. たぶん、それが正しい考えだと思います。ですが、現実は違います。
  営業担当があるお客様にとても感謝されるような仕事をしたとしましょう。しかし、そのお客様が次の転居のときに、その営業担当にあたる可能性はわりと低いです。これは、不動産営業は異動・転職が激しいことと、そのお客様の次の転居先は別のエリアである可能性が高いことから、明らかです。
  一方、あるオーナーにとても感謝されるような仕事をしたとしましょう。そのオーナーの物件を再び契約する確率は高いです。また、オーナーに信頼されれば、別のことでもっと良い事があるかもしれません。
  言わば、「借主は一見さん」で、「貸主は常連さん」なのです。


Q. 不動産屋には、平等な取引をする務めがあるのではないか?
A. もちろんです。まっとうな不動産屋ならば、明らかに片方に不利益な取引はしません。
  しかし、不動産営業のほとんどは歩合給である事を忘れてはいけません。紹介する物件の手数料の額によって給料が変わるのです。


Q. どの物件を紹介しても、手数料は同じではないのか?
A. 違います。
  賃貸契約の手数料は、借主側から0.525ヶ月分、貸主側から0.525ヶ月分、と決められています。オーナー側に別の不動産屋が入っている物件は、手数料が半分になる事があります。
  逆に、オーナー側から広告料として、さらに1ヶ月分頂ける物件もあります*2。手数料を折半しなければならない物件と比べると、4倍です。
  お客様の条件にぴったり合う手数料5万円の物件と、お客様の条件と少しずれる手数料20万円の物件、担当営業がどちらを薦めてくるか、明らかです。


Q. 不動産営業は金が一番大事なのか?
A. 確かに、「手に入るかもしれない数万円を捨ててまで、気に入らないお客様に対して尽くそ」うと考える人間は、この業界には少ないです。
  しかし、不動産営業も人間です。
  どうせなら、人に感謝される仕事をしたい、と考えて仕事をしています。
  あなたが、つけ込むべきは、そこです。「この人に良い部屋を見つけてやりたい」「この人に喜んでもらいたい」と担当営業に思わせてやると良いでしょう。


Q. 具体的にどうすればよいのか?
A. それはまた後日。







 まとめ

  • 不動産営業にとって、借り手に良い事をするよりも、貸し手に良い事をする方が、見返りが大きい。
  • 不動産営業の金銭インセンティブは、借り手が良い部屋を見つけることと一致しない。


 エントリ予告

  1. あなたが住まい探しに失敗する1つの理由(売買編)
  2. あなたが部屋・住まい探しに失敗する1つの理由(解決編)

*1:あと、ぶっちゃけ言えば、これです→http://www.motoharusumi.com/jobs/marketing/smo_social_media_optimization/post_1.html

*2:これは業法違反に当たる場合も